ドイツワイン宅配便 by フランツ佐伯

ゴー・ミヨー「ドイツ・ワインガイド」2016

最優秀生産者賞はラインガウのビオディナミ実践者 ペーター・ヤーコプ・キューン醸造所

 

今年の10 月3日、ドイツは統一25周年を迎えました。「あれ、去年も同じことを書いていたような…」と思われるかも知れませんが、去年は「壁崩壊」25周年で、今年のは東西統一です。壁は崩壊しても西と東で別な国だったのが現在のドイツ連邦共和国に統一したのが1990年のことでした。その統一前後に生まれた人達も25歳、もう一世代近くの時が流れたのです。今や旧東西国境を越えても外観上からその違いに気がつくこともほとんどありません。一方では賃金、失業率(東は西の2倍近い)等の格差が現在もあります。また気質の違いも依然として残っているようです。

先日、ドイツの国営テレビ局が放映した、どっきりカメラ的な番組はとても印象的でした。例えば「レジで衣料品の試着室の使用料を徴収」される設定では、東側の人々は老若男女とも「えっ、いつから?」とか驚きながらも言われた通り支払います。中には何も言わずに黙って支払っている人も。西側では「そんなバカな! じゃあ服は要らない」と、全員拒否。また焼きソーセージの立ち食いスタンド編では「物価・人件費上昇の為、ソーセージは半分」でも同様。西では子供までが拒否。東でも拒否する人はいましたが、西側出身の人だったり。もちろん「やらせ」が入っているかもしれませんし、東は質実剛健、軍国主義で名を馳せたプロイセン人気質の伝統もあるでしょう。それにしてもやはり「体制には逆らわない方が安全」というのが身に染みついているように思われます。本当の統一もまだまだ時間が掛かりそうです。

●総試飲ワイン数大幅減

gaultmillau初版の1994年版から数えて23冊目、2015年版には1万3496 種類のワインが試飲に供されましたが、2016年版では1万1745種類と、13%も減少しています。これはやはり2014年という収穫量で平年を下回ったヴィンテージが大きく影響しているのでしょう。世界的には収穫量が多いと「良いヴィンテージ」と各種ヴィンテージチャート等で評価されがちで、あながち間違いでも無いのですが、ドイツ、特に高級ワインの分野では事情はかなり異なります。同じ生産者の1つの畑からカビネット、シュペートレーゼ、アウスレーゼといった異なった等級のワインが造り出されます。それどころか、同じ生産者、畑、等級でも何種類かの異なったワインになったりもします。質の高いワインを目指す生産者では、同じ畑、同じ場所に何回も収穫に入り、造りたい目的に即した葡萄の房のみを収穫、多い場合は数回にわたり、醸造も伝統的な1000または1200リッター単位で行われるのがその主な理由です。

「一緒にすれば良いじゃない?」と言われてしまえばそれ迄ですが、天候に恵まれず、補糖せずにワインに出来ることを歴史的に誇りにしてきたドイツの生産者としての考え方もあるのですね。ちなみにドイツでは補糖がワイン法で全く許されていないカビネット以上の等級のワインの生産量は通年で全体の約35%前後と、良いか悪いかは別にして、世界的に見ると「異常」と言っても過言では無い高さになっています。

2013年は全体で収穫量が比較的少なく、一般的にはどちらかと言えば不作な年と見られがちで、どこぞやのチャートではモーゼルが80点(このチャートでは平年の最低点)になっていたりします。しかし中には(あくまで私の評価ですが)これまで飲んだ中で最高のシュペートレーゼがあったりと、特に「高貴な甘口」ワインでは当たり年と言っても良いかと思われます。

結局、十把一絡げに年号は語れませんよ、と言うことなのですが、2014年は夏季も天候が思うように良くならず、収穫期後半で天候が悪化したこともあり、流石に全ドイツ的に苦しかったようです。その為、ゴー・ミヨーに提出されたワインの数が減ったものと思われます。ワイナリーに与えられる各賞にも、若干ではありますが、精彩を欠いた感がありました。ただ、酸味を慮り早期に収穫して作られた辛口には良いワインが多くあることもどうかお忘れ無く。(F. Saeki)

つづく/これ以降の内容

●ピッツェリアのワインリスト  ●ゼクト賞  ●辛口シルヴァーナー賞  ●App無料コード付録

につきましては、「ウォンズ」本誌「1月号」P.75〜77をご覧下さい。WANDS本誌の購入&購読はこちらから

画像:最優秀生産者賞はラインガウはエストリヒ村のビオディナミを実践するペーター・ヤーコプ・キューン醸造所。3年前に4っ房に昇格したばかり。「ひたすら品質向上に努力してきた結果を認めて貰えてとても嬉しい。これからも息子のペーター・ベアンハート君と頑張ります。」と本当に木訥なお父さん。

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