日本の白ワイン造りにおいてエポックメイキングな銘柄「甲州きいろ香」10周年

「甲州きいろ香」の初ヴィンテージは2004年だった。ニュートラルな品種と認識されていた甲州に、特別な柑橘類の香りが眠っていたことが判明した衝撃的なデビューだった。現在販売されている「甲州きいろ香」「甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ」は、ともに2014年ヴィンテージとなり、メルシャンは10周年を記念して「シャトー・メルシャン」甲州ワインを利く会を7月に開催した。

解説は、現在シャトー・メルシャンワイン資料館館長で「キュヴェ・ウエノ」の園主でもある上野昇氏(当時の工場長)、シニアワインメーカーの藤野勝久氏、チーフワインメーカーの安蔵光弘氏、ワインメーカーの小林弘憲氏によって行われた。

 

メルシャンの新旧栽培・醸造家が勢揃いした10周年記念試飲会 右から藤野勝久氏、上野昇氏、安蔵光弘氏、小林弘憲氏

メルシャンの新旧栽培・醸造家が勢揃いした10周年記念試飲会
右から藤野勝久氏、上野昇氏、安蔵光弘氏、小林弘憲氏

70年代にフレッシュ&フルーティーな「勝沼ブラン・ド・ブラン」や甘口の「鳥井平」、80年代に「シュール・リー」、そして90年代に「小樽仕込み」と開発は進んだが、そこまでで一旦停止していた。そして「2002年ヴィンテージのグリ・ド・グリは、甲州という品種をもう一度見直そうと、造ったものだった。それから10数年で、メルシャンの劇的に白ワイン造りが変わることになった」と、藤野氏はいう。

グリ・ド・グリで再開した甲州のプロジェクトは、グレープフルーツ様の柑橘香が発見された2003年12月から「甲州アロマプロジェクト」へと発展した。「ボルドー液を撒かないで2、3年実験した場所から、柑橘香が得られた」と、上野氏。

当時ボルドー大学在籍していた安蔵氏は「ボルドーでもちょうどアロマティックな白が出始めていた頃。面白いと思っていたところ、甲州の研究も始まり、デュブルデュー教授と富永博士を、メルシャンと繋ぐことができた」。

甲州の栽培は、七沢地区と上野園、そして勝沼を中心に行われている。しかし、アロマプロジェクトが七沢地区で行われたのは、七沢では新酒用に9月半ばという早い時期に収穫する経験があったこと、そしてボルドー液の除去という条件をのんでくれたからだった。

造りについては「基本的に使用するのはステンレスタンクのみ。また、今ではなるべく補糖しないよう務めているのでアルコール度数は低めとなり、補酸はゼロ」だと、小林氏が説明した。

ページ:

1

2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る