- 2015-9-11
- Wines, その他 Others
<比較試飲>
輸入元のアビコの協力により、ヴェネト州のカベルネ・ブレンド2011年ヴィンテージを、昨年の9月下旬出港、11月入船というスケジュールで、ドライコンテナ、リーファーコンテナ、2種類の方法で輸入した。
その結果をブラインド・テイスティングした。明らかな特徴の違いは以下の通り。
「リーファー」注ぎ立ては香りは閉じ気味ながら、時間と共にまろやかさが醸し出され、開く。味わいは、フレッシュな果実と酸、そしてほんのりとしたタンニンが感じられる。
「ドライ」はじめはスパイシーで果実の風味もたっぷり感じられるが、時間と共に急激に香りが落ちる。味わいは、フレッシュ感が低いため一見まろやかに感じられるが、時間と共にフラットさが強調され、苦みが残る。
戸塚氏曰く「ワインの輸送、保管ともに20度まででなければならない。22度でも少し高い。25度以上は影響を及ぼす」。ただし、実際にはバイヤーを務めている人物でもジエステル類などの「芳醇さ」をかえって好んでいる人、つまり「幸せな人」もいるようだ。
しかし、ドライコンテナからリーファーコンテナに変更するとなれば、もちろん経費が上昇する。それを吸収できる範囲の価格帯であればよいが、輸入するごとに赤字が膨らむようではビジネスが成り立たない。
イタリアから日本へ輸送する場合、20フィートコンテナ(満載で800ケース=9600本)で、ドライなら1,100ドル、リーファーは2,800ドルとなり、3倍近い経費がかかる。今回のセミナーにも協力した輸入元・アビコ社長の阿掛氏に聞いたところ、陸上輸送や港での保管なども含めると、経費の目安はドライ輸送で20円/本のところ、リーファー輸送で150円/本まで膨らむという。
今回は赤道を通らなければならないヨーロッパのワインを例に挙げての講演だった。例えば近距離のカリフォルニアの場合には、赤道を通らず海上輸送の日数も短いから夏場4か月間だけはリーファーコンテナにするが、他の期間はドライで通している、という輸入元もある。いずれにしても、品質と価格とのバランスをいかにとるのか、という問題であり、各社の方針が問われるところだ。
リーファーワイン協会は、今後も普及啓蒙活動を活発にするため、会員も募集していく。
(Y. Nagoshi)
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