2015/2016 日本のワイン市場を読む 主要11か国ワイン販売動向 第1位チリワイン

2015 年のチリワイン輸入量は612 万ケース(18%増)。これにバルク輸入・国内瓶詰品を加えた2015 年のチリワイン販売量は708 万ケース(18.4%増)になり、フランスワインを抜いて初めて第1 位になった。しかし低価格品が多く、輸入金額ではフランスワインの半額にも達していない。

 

アルパカは輸入単一ブランドで初めて100 万ケースを越えた。前年の40 万ケース強から2.5 倍の大幅な伸びである。急伸長の理由は価格、味わいもさることながら、覚えやすいアルパカのシルエットが再購入率を高めたようだ。さらに欠品することなく安定的に100 万ケースを販売したアサヒビールの調達から製品配送に至るまでの物流力の強さも評価に値する。今年は120 万ケースを目指し、すでに150 万ケースを視野に入れて準備しているという。

 

アルパカ急伸のあおりを受けてコンチャ・イ・トロのフロンテラは小幅な伸びに留まった。しかし日本国内で詰めているフロンテラBIB はよく売れている。同じく国内瓶詰のラデラ・ヴェルデも前年に12 万ケース上積みして30 万ケースに到達した。

 

コノスルは期中の値上げが影響したこと、ネブリナ(コノスルで最も安いレンジ)がアルパカと競合したことなどでほぼ前年並に留まった。

 

一方、中高価格帯のワインでは平均単価の最も高いモンテスが93,000 ケースを販売し、カッシェロ・デル・ディアブロも10%増の65,000 ケースになった。また小売価格2,000 円以上のワインは合計133,000 ケースで前年の約2 倍に増えている。料飲店で扱われるチリワインも増えている。

 

「チリワイン=安ワイン」という日本市場のイメージとは裏腹に、生産地チリでは中高価格ワイン造りが急速に進行している。産地と消費地の認識の大きなギャップを埋めるために、過去4 年にわたってチリワインの生産者団体ワインズ・オブ・チリは日本ソムリエ協会と共同で、「プレミアム・チリワインセミナー」を開催してきた。ここにきてその効果が徐々に表れているようだ。

 

チリワインは日本とチリとの二国間関税逓減協定によって他国のワインより関税が1ℓあたり64.65 円安い(CIF 価格145円/ℓのワイン、2016 年4 月~ 2017 年3 月まで)。この関税上の優位性がチリワイン躍進の原動力になっている。(K. B.)

つづく/これ以降の内容(2016年市場予測/チリ、フランス、イタリア、スペイン、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、南アフリカ共和国、アルゼンチン、ニュージーランド各国別動向)につきましては、「ウォンズ」本誌「4月号」P.13〜25をご覧下さい。WANDS本誌の購入&購読はこちらから

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