自由奔放なビー・ビー・グラーツ トスカーナの肉の帝王と共に来日

フィレンツェ郊外の小高い丘フィエーゾレは、ロマンチックな高級リゾートホテルがあることでも知られている。その一角でワインを造るビー・ビー・グラーツは、相変わらず自由奔放な人だった。

輸入元のサントリーによる催しが面白く、「予約の取れないレストラン」のひとつとされる西荻窪の「29」で行われた。「ニク」と読むから当然肉料理を得意とする店だ。その小さな空間に多くの人が集まった。理由は、もちろんビー・ビー・グラーツによるワインを求めてのことだが、もうひとつあった。

キャンテ・クラシコ内のパンツァーノ・イン・キャンティに「マルチェリーナ・チェッキーニ」を構えるダリオ・チェッキーニが、共に来日したのだ。料理専門家によれば、トスカーナで「肉の帝王」と呼ばれている人物だという。つまり、「29」と肉の帝王、そしてビー・ビーの共演という設定だ。

ビー・ビーによるワインは、ほとんどがIGTトスカーナだ。

「DOCやDOCGには、あまり興味がない。仲間がいて、私のワインを共に楽しみ理解してもらえばそれでいいのだから」と言う。

BB2 新作として、サンジョヴェーゼ100%で醸したスパークリングワインを持参していた。8月半ばにグリーンハーベストしたものを、ダイレクト・プレスしたロゼだ。とても淡いピンク色でフレッシュ感に溢れていた。他の銘柄の美しいラベルはビー・ビー自身が描いたものだが、これは少し雰囲気が異なる。9歳の娘のローザの作品を採用したという。

サンジョヴェーゼは、テスタマッタとコローレに使用している畑のもので、樹齢50〜80年と古い。畑の場所を確認すると、フィエーゾレだけでなく、ヴィンチリアータ、グレーヴェ、パンツァーノ、シエナと幅広い。10年ほど前に訪問したことがあるが当時は持っていなかった畑で、その後徐々に買い足して広げてきたのだという。

テスタマッタも久しぶりに味見した。2012年ヴィンテージだ。以前はもっと果実風味が華やかで味わいにも丸みがあったように記憶している。香りは閉じ気味で、味わいもタイトで上品に変化していた。これは時代の流れなのかもしれないし、ビー・ビー自体が年齢を重ねたからなのかもしれない。

ただ、単体で飲むのではなく食事と共に飲むと格段に旨みを増し開いてきた。だからこそ、肉の帝王との響宴を開いたのかもしれない。とても賑やかな会だった。(Y. Nagoshi)

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