シャブリのテロワールを象徴する40のプルミエ・クリュ 

ブルゴーニュワインは日本人の繊細な味覚によく合いたくさんの愛好家がいる。中でもシャブリはシャルドネの持つ豊かな表現力と新鮮な酸味が魅力で和食店でも人気がある。今回は個性的なボトルの揃っているシャブリ・プルミエ・クリュに焦点を当て、フランスワインジャーナリスト協会会長でフランスの日刊紙フィガロのワイン・コラムニストとして健筆を振るうベルナール・ブルチ氏とともに2014年産プルミエ・クリュをクリマ毎に試飲し、その中からクリマの個性が良く出ていて質的に興味深い77本を選んだ。

 

フランスの多くのワイン産地と同様、シャブリの葡萄畑はローマ帝国の軍隊によって創られた。しかし、その名声はポンティニー修道院に負うところが大きい。シャブリから40kmほど離れた場所に今でも残っているこの修道院はぜひ訪問すべき場所だ。1141年に開院したシトー派のこの修道院は、シャブリだけでなく同時代のクロ・ヴージョの葡萄栽培にも大きく貢献した。

 

修道僧がシャブリ村に建設した貯蔵庫がプティ・ポンティニーで、現在そこはブルゴーニュワイン委員会の本部になっている。聖職者が所有していた葡萄畑はフランス革命の折りに競売にかけられ、多くの栽培家が葡萄畑を手に入れ葡萄栽培に携わることができるようになった。以来、葡萄畑の面積は爆発的に増えて4万haに達し、シャブリのあるヨンヌ県はフランス随一の葡萄栽培県になった。シャブリはパリに近くワインの主な販路がパリだったからだ。

 

しかし、1887年のフィロキセラ禍で葡萄畑全体が破壊され、その後再建されたのはごく一部だった。1919年に5つのグラン・クリュがラベル表示されるようになり、1938年にアペラシオン・シャブリとシャブリ・グラン・クリュが公式に認められた。プルミエ・クリュが認められたのは1967年になってから。現在、シャブリの栽培面積は約4850haに達し、うち768haがプチ・シャブリ、3218haがシャブリ、765haがプルミエ・クリュ、101haがグラン・クリュである。(T. Matsuura)

 

つづく/これ以降の内容(シャブリのテロワール/シャブリの醸造と熟成/ベルナール・ブルチの利いた2014年産シャブリ・プルミエ・クリュ)につきましては、「ウォンズ」本誌「5月号」をご覧下さい。WANDS本誌の購入&購読はこちらから

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