特集 夏のスパークリングワイン 2016年上半期市場トレンド

来年4月に予定されていた消費税の10%への増税がどうやらまたまた延期になる雲行きだ。「リーマンショック級の経済危機が来ない限り、再延期はしない」と言っていた我が国の首相がG 7サミットを機に、急に「今は危機前夜にあるのだ」と言い始めた。今年は年初から中国経済の減速や世界同時株安、さらに加えて熊本地震災害発生と、たしかに景気の先行きについて不透明感が増している。大企業が業績を伸ばすことでその成果がいずれ中小企業や国民全体へのトリクルダウンとなって行き渡ってくる。そのような「好循環」への期待を抱かせつつ進められてきたアベノミクスだったが、多くの国民がその実感を手にできず、いまでも個人消費がふるわないところに持ってきて、この先さらに景気が悪くなるとしたらますます消費に金を回してはいられなくなるだろう。

 

ひとりひとりの飲酒量は景気の良し悪しにあまり左右されない。しかし、何をどこで飲むかは懐具合が大きくものをいう。それもあってか、ワイン市場では、昨年暮れあたりから「業務用がよくない」「安いワインしか売れなくなった」という声がよく聞かれるようになった。一昨年、昨年と続いた値上げラッシュがひとまず沈静化してきた今年も、上半期の商況が大きく好転しているとは言いがたい状況だ。それは近年のワイン市場を牽引してきたスパークリングワインについても言えることで、今年これまでの販売状況についてかつてのように二桁増といった景気のよい返事が返ってくることが少なくなった。

 

今年の直近4 月までの通関量をみると、スパークリングワイン全体では8.5%増と二桁に迫る勢いを見せている。同じ時期のスティルワイン(2?以下)輸入量が5%も水面下にとどまっていることとは対称的だ。しかしこれは、スパークリングワインの昨年同期の輸入実績が4.1%減にとどまっており、今年の好調ぶりはそれに対する反動と言えなくもない。一昨年は4月の消費増税を前に2割近い輸入増加があり、さらに2014年秋以降急速に進んだ円安ドル高などによってインポーター各社が昨春は新しい商品の手当にやや慎重な姿勢を見せていたからだ。(M. Yoshino)

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