ルイ・ロデレール Louis Roedererの真髄を唎く ②リザーヴワイン編

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<2015年ヴィンテージ>

偉大な年だと評判の2015年ヴィンテージについても聞いた。

全体に温かく、8月もドライだったため、よく成熟し病気もなく量的も確保できた年。ただし、収穫日を決めるのが困難だった。ドライな年には、アロマの成熟を待って遅く収穫するのが普通だという。2015年も例に漏れず、アロマの成熟を待ったためいわゆるクラシックな年の収穫より遅くなった。 特にシャルドネのほうを遅く収穫することにした。

酸度が低くなる危険性はないかと尋ねたが、それは冷涼な産地シャンパーニュならではだ。

偉大なシャンパーニュのヴィンテージ1969, 1964, 1962, 1959, 1947, 1949, 1928, これらはいずれも幾分低めだったが、他地域からすれば酸は高い。また、石灰質土壌は基本的に酸が高くpHが低いワインになるため、問題ない。特にルイ・ロデレールの自社畑はピュアなチョーク土壌ばかりだから、有利にはたらくのだろう。

9月2日まで暑かったが、4日から夜温が下がり始め、葡萄の破砕にも最適な期間が始まった。9月8日に南向きの区画から始めて、15日まで収穫した。

普通はブージィのピノ・ノワールを早く収穫するが、夏に雨が比較的少なかったマイィのピノ・ノワールが早めの収穫で、雨が多かったブージィは遅めだった。通常はヴェルズネイのピノ・ノワールの収穫が最後だが、2015年の場合には、メニル・シュール・オジェとヴェルテュが最後。シャルドネを最後に収穫するのは稀なことだ。

 

<2015年の醸造>

ルイ・ロデレールでは、もちろん収穫年の個性に合わせて醸造を行う。2015年のように熟して力のある年には、ソフトに控えめで慎重な醸造をする。

また、基本的には行わないマロラクティックをするかしないか、という選択肢も残っている。2015年は、購入葡萄についてもマロラクティックをほとんど行わなかった。

「マロラクティックはテクスチャーを与えるが、ブライトな果実の香りを少し火を通した果実の香りに変えてしまう。春の果実のような明るさ、柚子などの柑橘類に似たフレッシュ感が必要だから」。

そして長く澱と共に置き、ラッキングは最小限に。亜硫酸も少なくしてワインに呼吸をさせる。2015年はゆっくりした進行だったので、ゆっくり待ってからブレンドした。

ムニエは、フレッシュで軽やかで複雑性はなくシンプルだが優しく、ピノ・ノワールは複雑で力があり、精緻で美しい、シャルドネも実に美しい出来となった。(Y. Nagoshi)

2015年のティラージュ前のブレンドについては「ブリュット・プルミエはバランスを追究したクリエイション」をご参照ください。

「ヴァン・クレール編」はこちら

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