ギリシャワイン・ルネッサンス

ヨーロッパ最古のワイン生産国でありながら、歴史の荒波にもまれ続け、他の西洋諸国より遅れて近代化の波が到達したギリシャのワイン産地。ようやく長い眠りから目覚めた獅子が身震いするかのように、その偉大なテロワールを反映したワインが変貌を遂げつつある。ギリシャの代表的ワイン産地、サントリーニ島とペロポネソス半島を訪問し、今、世界のワイン専門家の注目を集めているワインの魅力と、急速な品質向上の背景を探った。(取材協力:エンタープライズ・ギリシャ)

 

<サントリーニ島のアシルティコ>

ホテルから海を見下ろしながら南下し、テラにあるブータリ・ワイナリーBoutarisで、サントリーニ島の主要品種、アシルティコAssyrtikoの畑を見学した。「クールーラKouloura」と呼ばれるサントリーニ島固有の伝統的栽培方法は株仕立ての一種で、地面に置かれた「バスケット」のような形状をした葡萄の株が、海を見下ろす標高140mの崖の上に点々と並ぶ光景は世界中でここにしか存在しない。

 

ブドウの枝を、低くらせん状に巻いていくことで、樹が強い海風になぎ倒されないよう、葡萄の実がバスケットの内側で強い陽射しから守られるようになっている。樹齢が高くなるほどバスケットは大きくなっていく。土壌が乾燥していることに加え、アシルティコの果皮が厚く病害に強いので、地面に接する仕立て方でも問題無いのだという。現在、サントリーニ島では約20~30haの畑で試験的な垣根仕立ての栽培を行っている。収量の増加が狙いだが、リスクは高いという。

 

<ヴィンサント発祥の地はサントリーニ島>

一般的にヴィンサントといえば、イタリアの甘口ワインを連想するが、ギリシャでは、サントリーニワインVino di Santoriniが、Vin Santoの語源であるというのが定説だ。(ギリシャではVinsantoは1語。)

 

13世紀頃から地中海に勢力を誇ったヴェネチアの商人は、ギリシャの産物を輸出し、Vino di Santoriniは各地で高い評価を得ていたという。イタリア各地でvin santo、vino santoと呼び方が違うが、Vino di Santoriniが起源だとすれば納得がいく。(T. Shirasu)

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