Report ライン河北部の葡萄栽培地をめぐって

辛口リースリングとピノ・ノワール、そして美味しいゼクトもトレンドセッターだ

 

1980年代頃から始まったドイツワインのルネッサンス運動は、21世紀に入ってそのスピードをますます速めている。モーゼルのマルクス・モリトールやドクター・ローゼンを改革の旗手の第1世代とすれば、ラインヘッセンのケラーやビットマン、スパニエルなどは第2世代といえるだろう。しかし、そうした人々も壮年期に入りドイツワイン界では今や押しも押されもせぬ存在となった。そしていま、ジェネレーション・リースリングなどの生産家グループに結集するさらに若いつくり手達が第3世代として擡頭しつつある。今春、ProWein展の後におこなわれたワイナリーツアーに各国のジャーナリストと混じって参加した。

 

~アール~

旧東ドイツのザーレ・ウンストルートやザクセンと同じように、アールはドイツ13 栽培地域のなかで最北にある。しかし、アール川の狭い谷筋から立ち上がる急斜面は日照に恵まれ、昔から赤ワインの銘醸地として知られてきた。ここでは今でもシュペートブルグンダーの作付面積が一番多く、全体の63%を占めている。

 

Weingut Paul Schuhmacher  ポール・シューマッハ

アール地方の中流域、マリエンタール村にあるこの造り手は1987年、創業者であるポールが30歳の時に興した家族経営ワイナリー。最初は家も畑も無い状態でスタートしたが、毎年0.5haほどを購入し、現在は4h の自社畑でシュペートブルグンダー、その突然変異種であるフリューブルグンダー、リースリング、そしてごく少量のメルロとカベルネを栽培している。年間生産量はおよそ2万5000 本。

ワイナリーの背後に広がるTrotzenberg は、南西向きの日照に恵まれたスレート土壌の畑で、最高点の標高が250 ~ 260 m。最大斜度70 度、畑の上からおよそ150 m下の麓の村を臨むと思わず足がすくんでしまう。ここでは最も古いもので1950 年にクローン777 を使ったピノ・ノワールが自根で栽培されている。畑の値段は1平方mあたり€22 ~ 25、ha に換算すると€22 万~ 25 万となり、決して安い買い物ではないが、「アール地方では畑の作業中に亡くなる人が後を絶たない」という。葡萄栽培はまさに命がけの仕事だ。

2013 Carpe Diem” Spätburgunder Trocken カルペ・ディームは“Just drink now!” の意。14年4月に瓶詰めし、18 ~ 19 か月瓶熟成を行ってから出荷している。アルコール分13%、総酸5g、残糖0g。ストロベリーやラズベリーの香り。引き締まった酸と滑らかなテクスチャー。若くフレッシュで、果実香あふれる味わい。あまりひねくりまわさず、ピノの魅力を素直に引き出している。セラードア価格は€12.50。

2013 “Pur Pinot” Spätburgunder Qualitätswein trocken Pinot のpi に代わって「π」を赤字で記した印象的なラベルを採用。緻密なタンニン、エレガントかつ力強い味わい。€20。

2013 Marienthaler Trotzenberg Spätburgunder Qualitätswein trocken 色調は明るめながら、香味が凝縮し、ラズベリーやモカなどの複雑なアロマ、熟した果実の甘さが特徴。同じワインの2011年産は2013 年に感じられたトースト香が溶け込んで、ピュアな酸が味わいを引き締めている。ともに€26。CP は高い。(M. Yoshino)

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画像:ポール・シューマッハ氏、Trotzenberg畑の最上部にて

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