本坊酒造マルス津貫蒸溜所竣工 南国のクラフトディスティラリー目指す

本坊酒造は発祥の地に「マルス津貫蒸溜所」を新設した。これで、信州マルス蒸溜所を含め、2蒸溜所体制となり、生産増強が可能となる。同社では「南国でのクラフトウイスキーづくりの挑戦は、ジャパニーズウイスキーに新しい価値を生み出す」と位置付けている。11月10日のグランドオープンを前に、9月9、10日の両日、ウイスキー蒸溜釜の搬入と据付工事が行われると聞いて、その歴史的瞬間に立ち会うべく、新設蒸溜所を訪問した。

 

鹿児島県南さつま市加世田津貫6594がマルス津貫蒸溜所の所在地である。鹿児島空港から鹿児島市内まで空港バスで約1時間。さらに市内から枕崎方面に車で約1時間走らすと国道270号線沿いに、蒸溜所のシンボルタワーが目に飛び込んでくる。

「オニオン型」の初留釜

「オニオン型」の初留釜

当日はまだ半袖で汗ばむ陽気だった。市内を歩くと、気温だけでなく、湿度の高さを感じる。冷涼な気候のマルス信州蒸溜所とは対照的に、温暖湿潤な気候から生まれる新しいタイプのウイスキーづくりが、まさにここから始まろうとしていることを体感できた。

マルス信州蒸溜所が半世紀ぶりに蒸溜釜を更新した2014年11月21日にも据付作業を目にしているので、その歴史的瞬間に立ち会うのもこれが2度目となる。ただ、実際に訪問してみると、ウイスキー蒸溜釜の形状は信州の「岩井式」とは異なる「オニオン型」であることなどに気づいた。その他にも信州と津貫では、設備や製造方法に違いがあるようだ。常務取締役南九州事業部長谷口健二氏に話を伺った。

 

 

第2蒸溜所の総工費は約5億円

マルス信州蒸溜所の更新費用は約1億円だったのに対し、今回の総工費は約5億円(内設備関係が約4億円)と大きな投資である。

常務取締役南九州事業部長谷口健二氏

常務取締役南九州事業部長谷口健二氏

「世界的にジャパニーズウイスキーの評価は高まる一方で、今はモルト不足という現実がある。信州だけの製造能力では、国内外からの注文に応えられないため、早急に経営判断した結果」と谷口常務。瓶詰ラインを本社がある鹿児島工場に移設し、集約化したことで、その空きスペースを有効活用することができた。蒸溜棟面積は約530㎡(約160坪)。

信州では、更新したウイスキー蒸溜釜を除けば、仕込釜や発酵槽は30年以上前の設備を使用している。一方、津貫では、新たにステンレス製の発酵タンク6klを5基、蒸溜釜は初留釜(5.8kl)1基と再留釜(2.7kl)1基の1対2基を導入した。そして、津貫では、1回の仕込みで1つの原酒が出来上がる1バッチ式を採用した。「これにより酵母や麦芽のピーティングの度合いを変えて、1本ずつ違った原酒をつくり出すことができる。信州の3バッチ式に対し、津貫の1バッチ式は、より多彩な原酒づくりに適している」という。

ウイスキー蒸溜釜の据付作業

ウイスキー蒸溜釜の据付作業

この他、麦芽粉砕機、糖化機(4.4kl)、酒母タンク(600l)2基、ジン製造のためにハイブリッド型スピリッツ蒸溜機(400l)1基を新設・導入した。(A.Horiguchi)

 

つづき(蒸溜釜は「オニオン型」を採用、南の大地で多彩な原酒づくりに挑戦、地域活性化へ、ビジターセンター新設)はウォンズ10月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

画像:マルス津貫蒸溜所のシンボルタワー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る