特集 ビール新時代へ スモールバッチで“究極の味覚”に挑む

シースルータンクを配置することで、“発酵の見える化”を図った

シースルータンクを配置することで、“発酵の見える化”を図った

—SVBでは「究極のバランス」「究極の味覚」を目指すということですが。
お客さんからも「キリンが造るから絶対においしいはず」「間違いないものをつくってくれるはず」と期待値は相当高いので、そこは間違いなくクリアしなければいけません。ただし、そこで満足してもいけません。その高い期待値さえ、上回る驚きと感動を提供できて初めて成功といえると思います。したがってすごく大きなチャレンジになると思っています。当然、失敗は許されない、お客さんとの真剣勝負の場だと思っています。そうした覚悟がなかったら、最初から言い出しません。
私が理想とするビールの哲学は、何杯でも飲める、つまり飲み飽きしない。1杯飲んだら、また次も飲みたくなるというビールが理想です。そこではバランスという言葉を大事にしたいと思っています。ビールには欠かせない苦味が、それ以外の味覚成分とのバランスによって、同じ苦味の質、強度であったとしてもそれを苦いと思うか、全然感じさせないか、そこが大きく変わってくるからです。

—最近では日本でも極限まで苦味を強めたIPAなどが流行っています。
香りも豊かで、しかも苦く、特徴があるので、ひと口目はおいしいのですが、途中で堰止まって1パイント飲むのが精一杯というものも多いです。個人的にはそういうビールも嫌いではないのですが、それは別にキリンが出さなくてもいい。米国西海岸の造り手でそういった個性的なIPAを造っているところはたくさんあります。では私たちは何を追求するかというと、やはり、特徴はしっかりあるけれども何杯でも飲めるビールになります。

こういったビールはあるようで実はあまりありません。どうしてないかというとそれはやはり技術的に極めて難しいからです。でもそこをクリアできる自信が私たちにはあります。そういったビールのタイプを表現するのに、新次元とか、異次元という言葉を使っていますが、今までにないタイプのクラフトビールをSVBで提供したいと思っています。

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