「マスカット・ベーリーA誕生90年」岩の原葡萄園が試飲セミナーを開催

2017年は、甲州と並んで日本を代表する赤ワイン用ぶどう品種であるマスカット・ベーリーAが誕生してちょうど90周年を迎えた。これを機に、同品種の故郷ともいえる岩の原葡萄園がマスカット・ベーリーAを中心としたセミナー試飲会を開催した。

マスカット・ベーリーA は、日本のワイン用葡萄の父といわれる川上善兵衛が1927年に交雑して開発した日本の固有品種。1890年に岩の原葡萄園を創業した善兵衛は、その後の30年間にわたり、欧米諸国から500種以上の葡萄を輸入し栽培試作を行ってきた。しかし、欧州種の多くは品質的に優れてはいても日本の風土に合うものが少なく、米国種は日本の風土には適しているものの狐臭などがありワイン用としては適さないことが分かった。そこで、メンデルの法則を利用した交雑の研究に取りかかった。細かい作業と長い時間を必要とするこの研究は1922年、善兵衛53歳の時からスタートし、最終的に1940 年に「交配に依る葡萄品種の育成」という論文にまとめられるまでに実に1万311回もの交雑が行われたという。

こうした交雑実験の結果、善兵衛が発見したのは、樹態(強さ)は母の形質を強く受け、果質(果実の性質)は父の形質に似ることが多いということ。この原理を踏まえて、1927年に生み出されたのがマスカット・ベーリーAだった。アメリカ系の交雑種Baileyを母、ヴィニフェラ系の交配品種Muscat Hamburghを父にもつこの品種は、8分の5がヴィニフェラ系。当時の東大農芸化学教室の坂口謹一郎博士が、「酒質はA 級にして香味共に良、色澤濃厚なり」と太鼓判を押したこの品種はどこでも育ちやすく、日本の風土に合っていることから、今日、甲州に次いで2番目に多く栽培(品種別シェア13.4%、2014 年度)されているワイン用葡萄品種となっている。2013年6月にはOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に正式に品種登録されているが、登録にあたっては82 項目にわたり形態学的特徴がチェックされ、DNA解析も行われたという。

「90周年に当たる2017年は、1年間かけてマスカット・ベーリーAに関する情報発信を続けて行きたい」と棚橋博史社長は語っている。(M. Yoshino)

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画像:棚橋博史社長(左)と上村宏一製造部長

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