飲み頃のヴィンテージを供給できる稀なアルザスの造り手「ローリー・ガスマン」

「ローリー・ガスマン」というアルザスの造り手の名は、日本ではまだ知られていない。ほとんどがフランス国内の顧客向けに販売しているというから、無理もない話だ。とみに白ワインは早く飲まれすぎていて真価を発揮する前にすでに在庫がない、というケースを多々見かける中、100万本以上バックヴィンテージを在庫しているという稀な造り手だった。

 

試飲してみるととても心地よい口当たりで、ワイン単体でも飲めそうな味わいだったので、どのような造り手なのか検索してみた。ところが、ホームページもない。きっと、ほぼ毎年購入する先が決まっているので作成の必要のないのだろう。でも、少しわかったことがある。

 

マリー=テレーズ&ルイ・ガスマン夫妻と息子のピエールによる家族経営で、アルザスのロルシュヴィア Rorschwihrに拠点を置く。この一族は、1669年まで歴史を遡れるという。ロルシュヴィア村の土壌構成は非常に複雑で、1970年代から80年代にグラン・クリュの検討がなされた際、12のグラン・クリュを与えるかゼロにするのかともめた末、複雑すぎるためにグラン・クリュなしを選択そうだ。

自社畑は60ha近くも所有しているため、銘柄数が多いようだが全体像は現地を訪問しなければわからない。

栽培にはバイオダイナミクスの手法を取り入れているが、狂信者でもなく認証にも興味がなさそうだ。

その他には、醗酵に大樽とステンレスタンクを併用している、というぐらいの情報しか得られなかった。

 

ただ、通常のキュヴェでも果実の甘みを感じたのは、基本的に遅摘みをしているからだと考えられる。合いそうな料理を考えると和食を多く思い浮かべたのは、その残糖分からの連想だ。

 

また、アルザスワインでは複数品種をブレンドするスタンダードのエデルツヴィッカーが、最も若くして消費される。ところが、3種類試飲したところ、それに当たるテロワール・デ・シャトー・フォーツのヴィンテージは2012年だった。しかし、フレッシュさを欠くことなくとてもよい状態にある。むしろ香りが華やかで好印象だ。ローリー・ガスマンがフランス国内で人気な理由のひとつは、自らのスタイルが花開くまで待ちリリースするという方針が、現地のレストランにウケているからではないだろうか。

 

2012 Terroir des Château Forts

ラベルに表記はないが、エデルツヴィッカー。定かではないが、およそオーセロワ60%、ゲヴルツトラミネール30%、残りがリースリングとピノ・グリ、といった割合のようだ。桃、アプリコット、蜂蜜、などオイリーな香りで、果実の甘みが感じられ、心地よい口当たり。後味はフレッシュで、いわゆるミネラル感が残る。

2013 Riesling

濃厚な香りで、ミラベル、カリン、少しドライなアプリコットなど、粘性を感じる。なめらかな果実の甘みが感じられ厚みがある味わいで、後味のミネラリーなニュアンスとフレッシュな酸が心地よい。

2007 Selection de Grains Nobles Brandhurst de Bergheim Gewurztraminer

濃密な香りで、蜂蜜、ミツロウ、スパイス、菩提樹の葉などが香る。パン・デピスに粘性の高いアカシアの蜂蜜をかけたイメージ。味わいにも粘性、オイリーさが感じられ、凝縮している分、ミネラルや旨みも強い。まだ生き生きとしており、活力が感じられる。貴重なエキスだ。

(Y. Nagoshi)

輸入元:BB&R ベリー・ブラザーズ&ラッド

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