特集 ビール/2026年酒税一本化を見据え基幹ブランドへの投資を集中

昨年のビールメーカー5社(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロ、オリオン)によるビール類課税数量は2.4%減と12 年連続の前年割れとなり、市場縮小傾向に歯止めがかからなかった。しかも新ジャンルが登場した2003 年以来、初めてビール、発泡酒、新ジャンルの3カテゴリー全てがマイナスとなった。一昨年に19 年ぶりに前年を上回ったビールも2.0%減と振るわなかった。

昨年は各社が将来の酒税一本化を見据えたビールの商品・施策への投資を強化。また、一昨年に続き80 以上となる多数の商品が発売されたが、市場拡大にはつながらなかった。このため、各社首脳からも「大変厳しい結果。市場縮小傾向に歯止めをかけるのは、なかなか難しい」との声が口々に聞かれた。

こうした背景には、人口減少や少子高齢化に加え、消費者の嗜好の多様化やアルコール離れの中で、RTD やノンアルコールビール飲料との競合がさらに強まっていることが挙げられる。特にRTD は9年連続で市場が伸長しており、ビール類市場との明暗を分けている。

今回、政府与党から示された酒税改定案では、2026 年10 月までにビール類の酒税を一本化する内容だが、これまで新ジャンルと同税率であったRTD は巻き添え増税を避ける狙いから、2026 年10 月までは増税が据え置かれ、かつ増税額も小幅となる。このため、2026年10 月以降もビール類とRTDとの税率格差は厳然として残ることになる。

こうした中で大手4社は年明け早々、相次いで今年の事業方針を発表した。各社とも生き残りをかけて、ビールカテゴリーを中心に基幹ブランドへの投資に集中し、積極的なマーケティング展開によって、シェア獲得と新たな需要の掘り起こしに注力する考えだ。(A.Horiguchi)

つづきはウォンズ2017年2月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る