ブルゴーニュの歴史の一部を担う「ドメーヌ・ポンソ」よりローラン・ポンソが来日

10年ぶりの来日となるローラン・ポンソが、ドメーヌ・ポンソとブルゴーニュの歴史についての密接な関係を語った。加えて、造りの方針やハイテクを駆使した劣化防止の技も教えてくれた。

 

<ブルゴーニュの原点>

「ドメーヌ・ポンソ」は、1872年にウイリアム・ポンソが創立した。プロシア戦争から戻った後にドメーヌを購入したことから始まった。一方、ウイリアムの従兄弟でローランの曽祖父に当たるアルフォンソは、イタリアで手広くレストラン経営を行なっており、店でウイリアムが造るワインも販売していた。当時は樽でネゴシアンに販売する時代だったが、ポンソは設立当初から瓶詰めしていた先駆けだ。

「当時はロマネ・コンティでさえ、トノーで販売していた。1930〜50年代でさえ、瓶詰めしていたのはルソーやダンジェルヴィルなど10軒ほどしかなかった」という。

1920年に祖父イボリート・ポンソが叔父からドメーヌを購入した。1932年からは、親類だけでなく他社へも販売を開始した。「祖父は外交官の仕事した後40歳でドメーヌへ戻ってきた。法律の学位もあり、AOCの格付け作業にも関わった。それまでネゴシアンは樽で購入していい加減なラベルを貼っていたから、大量の『クロ・ド・ラ・ロッシュ』が出回っていた」。ブルゴーニュの歴史に深く関わり始めている。

1942年に父ジャン=マリー・ポンソが参画した。病気に弱い苗木が多いのに業を煮やし、病気耐性があり品質の高い苗木を選び始めた。これには政府も助力し、1954年にジャン=マリーが選抜しクロ・ド・ラ・ロッシュに植樹した中からさらに厳選された。「1960年にセレクション・マッサール・アンテリジャンが選ばれ、今でもブルゴーニュにたくさん植えられている」という。

これが、今では海外のワイン産地でも広く植樹されているいわゆるディジョン・クローンの113,114, 115,667などだ。現在ブルゴーニュで栽培されているピノ・ノワールの80%がポンソから出たもので「ポンソは、自分たちだけでなく皆の役に立つことをする、という考え方を常にしている」。

ポンソは、まさにブルゴーニュの歴史形成の一部を担ってきた造り手なのだ。

 

<昔ながらの方法>

1981年から家業に参画し始めたローランは、できるだけ昔の方法を取り戻し、自然で介入しない造りをすることに重きを置いている。しかし「有機やビオディナミと言われているが、それは人間がかつて犯した過ちを元に戻している、というだけだ。だから、いき過ぎてはいけない」と、客観的で冷静な視点で見ている。

ポンソは、他よりも収穫が遅いことで知られている。それは「葡萄を取り巻くすべての環境を整え、尊重すること」にあい通じるものがあるのだと言う。

葡萄だけでなく、周囲の鳥や生物の状態も見ながら、収穫時期を決めている。まず、6月初旬に収穫期を想定する。その後、例えばどの鳥がいつどこに巣をつくるのかを観察すると、どのような夏が来るのかおよそ予想できる。例えば、モレ・サン・ドニやジュヴレ・シャンベルタンの丘の半日陰に生えるヤマユリのようなリス・マルタゴンが蕾をつけて何日目かを、月の状態も見ながら、収穫日に決定する。

「こういった知識は、何百年もかけて培われてきた」。代々守り続けてきたこの土地への愛情と自負が感じられる重みのある言葉だ。

 

<介入しない造り>

造りは、最新のテクノロジーを取り入れながらなるべく介入しないようにしている。

ここでは「ローマ時代からずっと行われてきた技術」のひとつ、除梗を行なっている。そして、重力で200年前から使っている木製醗酵槽に良い状態の葡萄のみ入れ、自然酵母で醗酵させる。

醗酵が終了すると、垂直式のプレスを使用する。かつて水平式に変えたが「より正確に複雑性のあるワインが得られる」垂直式に4年前に戻した。

樽熟成は平均24ヶ月。18〜36ヶ月で 新樽は一切使用しない。1980年代の新樽のトレンドに揺られることもなかった。「理由は、ブルゴーニュの偉大なワインの熟成はゆっくりだから。新樽の場合は空気の出入りが多く、瓶詰め後にも影響する。新樽10ヶ月熟成は、古樽22ヶ月熟成に相当する。ワインが一生で吸収する酸素の量を100%として、樽内で70%まで達するのと25%に抑えておくのでは大きな差がある」という見解に納得した。

また、だからこそ必要に迫られた時以外、1988年からずっとSO2をまったく使用していない。例えば2003年のような特殊な年は揮発酸が多かったため、すべてのキュヴェで瓶詰め前に少量使わざるを得なかった。平年は、酸化防止対策に窒素と(あるいは)二酸化炭素を利用している。

 

<劣化防止>
こだわりの偉大なワインを造るポンソは、ワインを取り囲む環境にも、細心の注意を払い、最新の技術を取り入れている。

「できるだけ自然な造りをしている。だからその後もワインを守らなければならない」として、1980年からUVを98%を遮断する色のボトルを使っている。

2008年からは、コルクに代わる多孔性がありながら機密性の高い素材による栓を採用している。使用し始めた当初は業務店をはじめ15%ぐらいの反発があったが、その客もすでに戻ってきているという。「今一番良質なコルクは1.2ユーロするが、これは0.5ユーロで経費節約にもなる」と笑っていた。

 

Morey-Saint-Denis 1er Cru Cuvée des Alouettes 2013 ラトリシエール・シャンベルタンとクロ・ド・ラ・ロッシュの間。リューディは、クロ・デ・モンリュイザン(モン・リュイザンの右端とクロ・ド・ラ・ロッシュの右端)。ラズベリーや花などの華やかで上品な香り。柔らかなアタック。酸がしっかりしてとても長く余韻が残る。清楚でタイトで長い。

Clos de la Roche Cuvée Vieilles Vignes 2013 ポンソでは50歳を超えて初めてヴィエイユ・ヴィーニュと呼んでいる。複数区画を所有し合計3.5ha。平均樹齢75年で1980年植樹が一番若い。まだ固い香りでわずかにラズベリーとスパイスが香る。深みがある。厚みがある酸もしっかりとして、タンニンは食感として感じられないほど細やかで一体化している。(Y. Nagoshi)

輸入元:ラックコーポレーション

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