ベースワインの収穫年の個性を尊重した ”R” シリーズをクリエイトしたユニークなシャンパーニュのメゾン「ラリエ」

ルネ・ラリエが1906年に創業したアイ村のメゾン「ラリエ」は、1996年に孫のルネ=ジャメ・ラリエが継承していた。しかし2004年に、それまでコンサルタントをしていたフランシス・トリボーに売却すると決めた。その後トリボーが「ラリエ」をユニークなメゾンに仕立てていったのだ。

アルザスの三つ星レストランとして知られる「オーベルジュ・ド・リル」のセルジュ・デュプスがアンバサダーを務めているという。セルジュ・デュプスは、1989年に世界最優秀ソムリエに輝いた人物でもある。

 

<ラリエのユニークさ>

フランシス・トリボーは、こだわりの人物のようだ。マルヌで4代続くメゾンの家系で、ディジョンでワイン造りを学んだ後にランソンやポメリーで醸造に携わった。そして1991年からは家族のドメーヌで仕事をする傍ら、数軒でコンサルタントをしていた。

 

トリボーがラリエでどのようなことを変えたのか。いくつか記してみる。

例えば、独自の酵母を選抜して2007年からは一次醗酵に自家培養酵母を用いている。アイ村にあるLoridon区画のシャルドネの酵母から選んだものだ。

また、2012年にコート・デ・ブランのオジェに新しい醸造所を建て、最新の設備を導入した。サイズの異なるステンレスタンクを用意して、畑や区画ごとに醸造できるように整えた。

醸造面では、、マロラクティックは「部分的に」行っている。アイ村を拠点としている関係で、よく成熟したピノ・ノワールを主体にしていることと関連があるのだろう。収穫年の状況や一次醗酵を終えたワインの状態をみて、そのつど判断をするようだ。

ちなみに、このメゾンでは自社畑が15haあり、生産量の40%を賄っている。ピノ・ノワールとシャルドネだけを使うのもここの方針のひとつだ。

 

<”R” シリーズ>

2015年9月からリリースが始まった”R” シリーズも、フランシス・トリボーによる発案だ。”R” はRécolte=収穫を表しており、数字がベースワインの収穫年を示している。基本となるBrutはR.012で、Brut NatureがR.012N、Extra DosageにはR.012Dと記されている。ちょっとした暗号のようで面白い。ラベルの色も、ドザージュなしが真白で、甘口がオレンジ色、中間が白にオレンジ混じりにしているのも楽しい。

ブレンドは、アイ村のメゾンらしくピノ・ノワールが主体で62%、シャルドネ38%。アヴィーズ、クラマン、オジェ、アイ、ヴェルズエイ、ブージィ、アンボネイの葡萄を使っている。リザーヴワインは、ベースワインの個性を尊重するため20%ほどと決めているようで、この年は19%のみ。

“R” シリーズは、ベース(ベースワイン+リザーヴワイン)はすべて同じでドザージュだけが異なる。しかし香りの表情も随分違う。T.P.O.や料理に合わせて選べる楽しさがあるシャンパーニュだ。

 

Lallier R.012N Brut Nature

裏ラベルにはデゴルジュマンされた年月も記されている。こちらは2016年の8月。

これはドザージュ・ゼロ。フレッシュな柑橘系果実のキリッとした立ち上る香りで、なめらかさもありながらやはり爽やかな酸が印象的なドライな味わい。

Lallier R.012 Brut

ブリュットで8g/l。桃のような丸みを感じる香りで、味わいも酸のフレッシュ感はそのままだが全体にふくよかさ、厚みが増す。口中での広がりが感じられる。

Lallier R.012 Extra Dosage

これはセックでドザージュ18g/l。濃密さを感じさせる、ハチミツや火を入れた桃、アプリコットのような甘い香りと味わい。甘すぎることはなく、みりんを用いた和食やスイートチリで食べる生春巻きなどにも合いそう。(Y. Nagoshi)

輸入元:BB&R ベリー・ブラザーズ&ラッド(2017年4月より本格的に販売開始)

 

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