「ランソン」本社屋内のクロ育ち ブラン・ド・ブラン「クロ・ランソン2006」

「ランソン」最高醸造責任者エルヴェ・ダンタンが来日し、新銘柄の初ヴィンテージを披露するとともに、主要アイテムについて語った。「クロ・ランソン2006」の日本での販売は600本だけ。

 

<ランソン・スタイル再確認>

 ランソンでは「伝統を裏切らず、フルーツの香りと味わいfruit+爽やかさfreshness+上品さfiness、これら 3つのF を大切にしている」。そのため、一貫してマロラクティックは行わない方針だ。

「250年間、常にフレッシュさを大切にしてきた。今でもどの銘柄においてもマロラクティックは行わない。もともとシャンパーニュ地方は冷涼なため、自然には起こりにくい環境だった。しかし1960年を境にマロラクティックを行うメゾンが増えた。ランソンは伝統的なスタイルにこだわった。フレッシュな果実風味を保ちながら長寿であるのには、このスタイルがよいという考えは変わっていない」というのが理由だ。

葡萄品種については、ピノ・ノワールが主体となっている。グループ全体で所有している畑は150haあり、契約農家の畑はほぼ1級と特級で占めている。

 

Black Label Brut NV

1937年からの銘柄。シャルドネ35%コート・デ・ブラン、ピノ・ノワール50%コート・デ・バール、ムニエ15%ヴァレ・ド・ラ・マルヌのキュミエールなど。ドザージュ8g/l。ベースの2011 年80%、リザーヴは2000〜2010年。リザーヴ含め合計300種類から厳選しブレンド。「活力の中に相反する繊細さが存在している。最初の味わいはピノ・ノワールによるワインらしさあるいは強さ。次にムニエによるフルーティさ。最後にシャルドネにタスキを渡し柑橘系の爽やかさへと繋がる」。

 

Extra Age Bland de Blancs

異なる気候の素晴らしい年、3年分をブレンドし、瓶内熟成を8年以上と長期間施したブラン・ド・ブラン。試飲したものは、2003+2004+2005。

2003年は暑い年でとても力強いシャルドネが得られた。2004年は涼しく、とてもエレガントな仕上がり。2005年は人の気持ちを引きつける優しいチャーミングさがあった。これらを合わせることで、シャルドネの様々な側面を表現できた。

すべて特級畑のシャルドネで、村はアヴィーズ、クラマン、オワリー、オジェ、ル・メニル・シュール・オジェ。2006年にマーケットに出し始めた特別なキュヴェ。

香りは若干閉じているが柑橘類、透明感のある蜂蜜、アプリコット、ほんのりトースト、花などが香り、優しいタッチでクリーミーな食感で、ふくらみがあるがミネラル分も豊かなバランスよい味わい。時間とともに香ばしい香りが広がる。

 

Clos Lanson 2006

ランスの本社屋内に、壁に囲まれた小さな葡萄畑がある。その1haにはシャルドネが植えられている。

ここは、18世紀まで歴史を遡れる畑だという。ランス市街地の唯一の畑で、しかも中心部にある。土壌は粘土石灰質。市街地で壁に囲まれているため、独特なミクロクリマがあり気温が3〜4℃高くランス周辺の畑よりも成熟が早く進む。

白亜質の崩れやすい砂利が多く含まれていることで水はけが大変よい。また、社員がいつでも見に行ける距離だという利点を生かし、ビオディナミで栽培している。敷地内で養蜂も行なっているそうだ。

2区画の片方は1962年植樹でもう一方は1986年に植樹した。この畑から生まれる葡萄はいつでも特別な個性を備え、2006年に初めて単独で瓶詰めすることにした。それまではミレジムにブレンドしていた。ここだけは全社員で収穫を行うのが恒例だ。

醗酵は3年使用の樽で行い、半量はアリエのオーク、半量はシャンパーニュ地方のアルゴンヌの森のオークを使っている。樽醗酵は葡萄の香りを引き立てるためで、珍しくアルゴンヌを選んだのは「それぞれのオークが補完的に働くと考えたから。ランソン家の出身がアルゴンヌだ、というのも理由のひとつ」。

瓶内熟成期間は7年、リリース前に瓶で1年置いておく。残糖3g/l。2006年以降も毎年発売する予定にしている。

若々しく、ほんのりとバニラトーストも薫が、柑橘類や熟した桃などの白い果実、花など多様な香りがする。味わいはなめらかでふっくらとしている。厚みがあり酸がとてもソフトに感じられるので、マロラクティックなしとは思えなかったが、最後に柑橘類の爽やかさが感じられた。本当に特殊なミクロクリマで葡萄の熟度が高いことが理解できる味わいだ。

エルヴェ・ダンタン「もろい砂利を表すような、ほろっと崩れるような空気感のある味わい」というコメントも印象的だった。(Y. Nagoshi)

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