開拓精神溢れる「ルイ・ラトゥール」ボージョレ南部にピノ・ノワールの適地を発見

「ルイ・ラトゥール」による2015年からの新作「ピエール・ドレ」の日本での発売は1,200本限定で2月28日に始まったばかりだ。醸造責任者のボリス・シャンピが来日した際にその開発の経緯を語った。

 

<ピエール・ドレの立地>

醸造責任者のボリス・シャンピ(左)とエリア・セールス・ディレクターのマーク・アレン

ルイ・ラトゥールが南仏のアルデシュでシャルドネを、ヴァルモワシンでピノ・ノワールを造り始めた時には驚いた。しかし、考えてみればとうの昔にコルトンの丘でシャルドネを育て始めた先駆けはこのメゾンだった。今回は、ボージョレの南部「ピエール・ドレ」でのピノ・ノワール栽培に火をつけようとしている。

きっかけは2008年にボージョレでアンリ・フェッシーを購入したことにあった。2010年から周辺の調査をしていると、ボージョレの象徴ともいえる花崗岩ではなくコート・ドールのような粘土石灰質の地区があるとわかった。ピノ・ノワールに最適だと思ったが、1985年からボージョレではピノ・ノワールの植樹は禁止されていた。

ところが、2011年になり新カテゴリーの「コトー・ブルギニヨン」ができた。これにより、ボージョレ内のドメーヌにおいて15%のピノ・ノワールが認められ、ルイ・ラトゥールでも植樹が可能になった。

十分な日照量が得られ、且つ適温が得られる立地を探し、2012年に土地を購入して植え始めた。モランセ村とテゼ村だ。当主のルイ=ファブリス・ラトゥールは、「小さなトスカーナ」とも呼ばれるこれらの村の家屋や教会、森の風景を眺め、その美しさを絶賛しているという。

標高280〜400mの地に合計25haを購入した。石が多く、酸化鉄が豊かなため土壌が黄金色に見える。レ・ピエール・ドレLes Pierres Doréesとは黄金の石という意味だ。21億3000年前の土壌といわれ、古代の貝類がゴロゴロとしている。購入した区画のひとつに「クロ・デ・ピエール・フォール」という名がつけられている。「異常なほど石だらけな畑」という意味だ。

気候は、基本的には内陸性気候だが、地中海からの影響も受けている。日中はコート・ドールより少し温かいが、標高が高い区画を選んだため、夜は気温が下がる。向きは東向きから西向きまで様々だ。

購入したのは、ほとんどが更地もしくは植え替えが必要な古い畑だ。しかし、1970年に植樹されたピノ・ノワールの区画も見つけた。そこは標高400mという素晴らしい立地にあった。(Y. Nagoshi)

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