シェリー特集/訪問記/ゴンザレス・ビアス González Byass

1835年にマヌエル・マリア・ゴンザレス・ビアスが創業した当時、生産量は3樽だった。5世代目となる今では合計860haの自社畑が生産量の40%を賄う、という規模だ。

 

<素材の品質>

 品質の高いシェリーを造るために、最も重要なポイントは何か? この質問に対し、マスター・ブレンダーで醸造長のアントニオ・フロレス・ペドレゴサは「オリジンだ」と即答した。

パゴと呼ばれる畑の条件が整っていること。そこから得られる葡萄、果汁、ワインの品質が高くなければならない。そして厳しい選別が必須条件となる。

シェリーは時間とともに凝縮されていくワインだから、もし欠点を見逃してしまえば後で修正が効かない。それぞれの工程で、どのような精緻な仕事をしているのだろうか。

 

<優良なパゴ>

ゴンザレス・ビアスが所有する自社畑の中で、最も優れたパゴ「カラスカル」と「マチャノルド」のうち、カラスカルを訪問した。合計220haの大半にパロミノが植えられており、24haだけがヘレス・スペリオールでは珍しくペドロ・ヒメネスだ。

カラスカルはもちろんパロミノに最適とされるアルバリサ土壌で、チョーク45%、ライムストーン20%と石灰質が豊か。表土は砕けた細かい粉状の粘土石灰質で、下層は石灰岩という構造だ。秋から冬にかけて降る雨を吸収し、暑くて乾燥した夏に徐々に水分を供給する、石灰質の保水性がちょうどパロミノの性質に最適だという。例えば、あまり水を必要としないモスカテルは、試しに植えてみたが生き残れなかったという。アルバリサが必ずしも万能というわけではない。

太陽が照ると真っ白に輝くアルバリサの色も、パロミノの成長に一役かっている。畑の中にぽつりぽつりと建てられている小屋の壁は70cmもの厚さで、どれも純白だ。「この壁はまさにアルバリサのパウダーを使って塗装されているんだ」と、栽培責任者のホセ・マンフエル・ハラーナは言う。太陽の光を反射するから、家屋の内側の温度が上がりにくい。反対に、この土壌に植わる葡萄の場合には反射光を多く受ける下方の房の方が上部の房よりも成熟が早い。

「カラスカル」は、標高40mにあるパゴだ。ここが優良な理由は、アルバリサ土壌だけではなく、海まで15kmの位置にあることも重要だという。ヘレス周辺では600mmの雨は降るが葡萄の成長期にはほぼドライだ。しかし灌漑は許されていない。夜になると海風が吹き朝露をもたらすのは、この場所ならではだ。

8月半ば頃に、コンセホの規定よりも少なめの11,000kg/haを目安に収穫する。これより内陸になればなるほど、より暑く乾燥しているからここより収穫は早めとなる。

植樹密度は3,300〜3,500株/haで仕立ては2種類ある。昔ながらのポダ・ヘレサーナは、その年の状況に合わせて収穫量を調整しやすいがホセのような熟練の手が必要になる。だから、現在多いのはダブル・コルドンだ。

アフリカからの暑く乾燥した風、レバンテが吹くと厳しい。2016年は8月に24日間もレバンテが吹いた。「大変だった」とホセが呟いた。「対処法はない」と言う。ただただ、こまめに葡萄の状態をチェックして収穫時期を見極めるしかない。ただし2016年は平年では考えられない5月に雨が降ったため、病気が広がり収穫量が減少した。その後のレバンテだったため、果実が小粒で質の高い果汁が得られたのが不幸中の幸いだった。

涼しい風、ポニエンテが大西洋から吹くと、フレッシュさが得られるため皆が安堵する。

訪問した1月は、すでに畑は冬の風景だった。収穫が終わると、10月から降り始める雨をなるべくたくさん保てるように、畑を整える。「アセルピア」と呼ばれている。畝間の土を波打つように整形して、水溜まりができるようにするのだ。(Y. Nagoshi)

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