ともにテロワールにこだわる本拠地の「アンリ・ブルジョワ」とニュージーランドの「クロ・アンリ」

「ブルジョワ家のワイン造りは、私で9代目、息子で10代目となる。先代からテロワールごとに醸造してきたが、それでも知り得ないことがまだ多い」と、ワインの奥深さを感慨深げに話すのは、61回目の来日を果たしたジャン=マリー・ブルジョワだ。

 

<マールボロの可能性>

ニュージーランドを訪問したのは2001年のことだったという。それまでに他の新世界も考えたが、例えばオレゴンやカリフォルニアは自分たちのスタイルとは異なると感じた。単一品種のワイン造りが可能な場所、四季の移り変わりがはっきりとしている所を探し続けた。

その結果マールボロに落ち着いたが、畑ではなく土地を買うことにした。斜面を探し、ワイラウ・ヴァレーの中でも内陸部へ到達した。当時は羊しかいなかった。土壌分析をし、ピノ・ノワールはブルゴーニュのクローンを、ソーヴィニヨン・ブランはサンセールのクローンを植樹した。

もともと火山性の石で氷河によってもたらされたグレイワックという土壌が、粘土と混じりあっている場所だった。マールボロは綺麗に整列した葡萄畑が多く見られる産地だ。トラクターのサイズに合わせて畝間も広く1,800〜2,000株/haが普通だ。しかしブルジョワ家による「クロ・アンリ」は、4,000〜6,000株/haとした。

草生栽培で灌漑もせず、4、5年前からバイオダイナミクスも取り入れている。だから、密植も合い間って1株あたりの収穫量はボトル1本分ほどしか取れない。

「はじめは、水も薬も必要だと言われた。しかし、根を深く伸ばすことが重要だと考えている。水を与えなければ、病気の心配も少なくなる。灌漑したソーヴィニヨンはハーブの香りが出るから、糖分を残してそれをマスキングしようとする。だからニュージーランドのワインは甘いと感じることが多いのだと思っている」。ブルジョワ家は、あくまで上質&少量の方針だ。

数年前から特別なキュヴェも模索している。まだ正式にリリースしていないようだが、丸石が豊かな単一区画ものを80%は600ℓの樽醗酵にし、2013年ヴィンテージを2016年1月に瓶詰めした。

「樽熟成しても、樽に負けないミネラルたっぷりのワインができあがった」と満足そうだ。サンセールとは異なる個性だが、今までのマールボロのソーヴィニヨンのイメージとも違う。その土地の中でも特殊なテロワールを反映したワインだからだろう。そういう意味では、まだ追求するべきことが多い産地なのではないだろうか。(Y. Nagoshi)

つづき<シレックスへのこだわり>は、WANDS本誌2017年3月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

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