GI Yamanashiの認知向上をめざして「山梨ワインシンポジウム」開催

東京国税局は3月18日、東京・ベルサール六本木で「山梨ワインシンポジウム」を開催した。これは2013年7月、国税庁長官告示により日本で初めてのワインの地理的表示として誕生した「GI Yamanashi」「地理的表示山梨」のさらなる認知度向上を目指して行われたもの。

GI Yamanashi をラベルに表示する際には、【原料葡萄】①山梨県で栽培されたぶどうを100%使っていること、②ぶどう品種は甲州、マスカット・ベーリーA、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネなど指定された品種に限られる、③品種ごとに定められた最低果汁糖度を満たしていること。【醸造】①山梨県内で醸造し、容器詰めしたワインであること、②アルコール度数は辛口が8.5%以上、甘口が4.5%以上、③補糖、補酸、除酸について一定の制限があるほか、アルコール添加は認められない。【審査】①成分分析およびその他の事項の審査を行い、②官能検査により合格したもの、といった条件が求められる。

この日、基調講演を行った田崎真也氏は、「1980 年代からワインの点数付けでは凝縮感と樽香を強く出したものが評価されてきたが、現在、こうしたワインは高得点をとれない。アルバリーニョやグリューナー・フェルトリーナーに見られるように、品種のピュアな特徴を生かし、しかも食事とともに楽しめるワインに評価が集まっている。こうした傾向は甲州種にとってもプラスとなっている」と、近年の国際的な環境変化を指摘。その上で、「甲州ワインの代表的な印象は、香りが穏やかで上品。二十世紀や長十郎などの梨や熟した柿の香りがあり、さらに土っぽさやスパイス、後味のミネラル感、優しい酸味が特徴だ。一方、鰹節や昆布によるダシは今や世界中の料理人にとって不可欠の調味料となっており、和食にとどまらず肉料理や魚料理にもダシを使うことで、穏やかな土の風味、ヨード香、後味に旨みとのコンビネーションによる苦味をアクセントとしている。甲州種ワインと和食とはリンクしており、特にみりんをつかった和食には少し甘みを残した甲州種ワインとの相性に優れている。GI によって山梨の名が世界に知られるようになれば、逆に世界の人々が鳥モツ煮や煮貝、こんにゃくの刺身など山梨の郷土料理を求めるようになるかも知れない。そのためにも、甲州種ワインは将来、残糖値をきっちり表示すべきではないだろうか」と、提言した。

これを受けて、後藤奈美酒類総合研究所理事長がモデレーターとなって行われた「山梨ワインを語るパネルディスカッション」では、大村春夫(丸藤葡萄酒工業社長、勝沼ワイン協会会長)、奥田徹(山梨大学ワイン科学研究センター長)、木田茂樹(ルミエール社長、山梨県ワイン酒造協同組合理事長兼KOJ委員長)、齋藤浩(山梨県ワイン酒造組合会長)、田崎真也、そして筒井真理子(女優、やまなし大使)の各氏がそれぞれの立場から山梨ワインの魅力と現況について語った。(M. Yoshino)

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