常に先駆者であり続ける「メゾン・ジョゼフ・ドルーアン」

「ジョゼフ・ドルーアン」は、1880年の創業から130年以上を経ているが、そのパイオニア精神はとどまるところを知らない。その理由を尋ねると「オープン・マインドだから好機に巡り合えるのでは」と、4代目社長のフレデリック・ドルーアンは言う。

(中略)

<ボージョレ・ルネッサンス>

「ジョゼフ・ドルーアン」は、2014年にボージョレの「オスピス・ド・ベルヴィル」と専属契約を結んだ。フルーリー、ブルイィ、モルゴン、3か所のクリュ・ボージョレに合計34haの畑を所有しており、樹齢35〜90年の古樹がある。モンラッシェの「マルキ・ド・ラギッシュ」などと同様に、ダブルネームでのリリースが始まった。

フレデリックが「ボージョレ・ルネッサンス」とも呼ぶこのプロジェクトの狙いはどこにあるのだろうか。

「ブルゴーニュはもともと小さな産地で、近年価格の高騰が続いている。私たちは、ワインはトロフィーのように飾っておくものではなく飲み続けられるものであってほしいと考えている。その点ボージョレは高嶺の花ではない。しかもまだよい土地があり、アイデンティティを生み出す可能性が大いにあると興味を持ち始めていたところ、オスピス・ド・ベルヴィルと出会う好機に恵まれた」。

「1931年に祖父モーリスが記した価格表には<コルトン22フラン、ムーランナヴァン11フラン>とある。価格差は小さい。ボージョレ全体の品質も上がってきている。それに、ガメイはピノ・ノワールとDNAで繋がりがある」。ガメイの両親はシャルドネと同様に、ピノとグエ・ブランだとわかっている。

また、熟成可能性についてもこう語る。「5年後、10年後と、年を経るにつれピノ・ノワールと似てくる。古いガメイのことを『ピノット(ピノに似ている)』と呼ぶぐらい。最近1959年のサンタムールを飲んだが、まるでジュヴレ・シャンベルタンのようだった」。

友人たちにブラインドで「ベルヴィル」を出すと、皆ピノ・ノワールだと思い、コート・ドールの村名を挙げていたという。

醸造は、ボージョレ流のマセラシオン・カルボニックと、ブルゴーニュの伝統的なスタイルを併用している。「ブルゴーニュ・スタイルは複雑性をもたらし『クリュ』らしさを出せる。2014、2015、2016と葡萄のできがとてもよく、その果実の個性を生かすために半量はボージョレ流がよいだろうと考えた。しかし、今後はブルゴーニュ・スタイルの比率を増やす可能性もある」。

「モルゴン2015」を試飲したが、香りに凝縮感と力があり、味わいのストラクチャーもしっかりとして、まだ全体に固い印象だった。フレデリックも「ライブラリーに保管して10年、20年後と経過観察をする」という。(Y. Nagoshi)

(以下、略)

<多くの足跡> <プイィ・ヴァンゼルを始めた訳> <チャーミングなニューフェイス> <鮨とジョゼフ・ドルーアンの出会い> につきましては、ウォンズ2017年5月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから   デジタル版もできました!

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