バルセロナ近郊アレリャで造るCAVAアルタ・アレリャ

カバの主産地・ペネデスは、バルセロナの南西部に位置している。ここで紹介するカバの生産者アルタ・アレリャはバルセロナの北東におよそ20km、電車で18 分のところにあり、バルセロナに最も近いボデガだ。

 

アルタ・アレリャのあるDO アレリャは、スペインで最も小さなDO で総面積230ha。ここにアルタ・アレリャを含め9 つのボデガあるという。アルタ・アレリャはDO アレリャにふたつの醸造所を所有している。解説したのはアルタ・アレリャの輸出担当ラウラ・ブレッド。試飲セミナーを主催したのは、このワインの輸入元・ラヴニール。

 

<DOアレリャのテロワール>

まず土壌の特徴から。DO アレリャの土壌がペネデスと大きく異なるのは、サウローという砂状の花崗岩をたくさん含んでいること。土壌の酸度が高く石灰分は少ない。とても痩せた

土壌で水はけは良い。塩味のミネラルが強い。そういうわけでボディのしっかりした白ワインやカバを造るのに適した土壌だと言える。

標高は300m で、ブドウ畑から地中海を見晴るかす、海の見えるブドウ畑である。この地域の年間降水量は400mm だが、地中海の海風の影響を強く受けている。

 

<アルタ・アレリャの歴史>

アルタ・アレリャは、1991 年にジョセップ・マリア・プジョルが設立した。ジョゼマリアは長らくイタリアでマルティーニ・ロッシの技術ディレクターを務めており、マルティーニのアスティやプロセッコ造りに関わっていた。その経験を生かしこの地に自らのワイナリーを開いた。

60ha の畑で栽培する品種はパンサ・ブランカ(チャレロ)18haなど10種類。その他、試験栽培品種が0.5haある。

アルタ・アレリャの特徴は家族経営で有機栽培を実践していること。しかもブドウ畑はセッララダ・デ・マリナ自然公園の中に位置しており、海岸からわずか2km の距離にあること。

 

<有機栽培とエコワイン>

有機栽培区画は全部で4ha。このうち3ha がパンサ・ブランカ(チャレロ)。このブドウでカバの他にスティルワインも造る。残りはパンサ・ロサダとモナストレルを各0.5ha ずつ栽培しており、前者はカバ用、後者は赤ワインを造っている。

テラス状に広がるブドウ畑の中ほどに醸造所がある。醸造所といってもここに建築したものではなく、バルセロナ港から船舶に積むコンテナを運び込み、連結したり改造したりして使っている。コンテナの中には側面をガラス張りにして内部を事務所風に改造したものもある。全体をネットで覆って直射日光を遮っている。

コンテナの内部には発酵用のアンフォラ、小型の四角いセメントタンク、小容量のステンレスタンクが揃っている。このほかにバリックの片側の鏡板を抜いた開放発酵槽がある。圧搾

には木製の垂直プレス(こちらも小型のもの)を使っている。

現在進行中の温暖化に対処すべく、2013年から在来品種を使った栽培実験を始めた。この区画には過去3 年間にわたってボルドー液も硫黄も散布していない。そうして育てたブドウの花粉を用いて受粉作業を行い、そこから新しいマカベオ、チャレロ、パレリャーダを生み出した。これを育てて新しいタイプのカバを造ろうとしている。(K.Bansho)

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