Découvertes en Vallée du Rhône 若さ、躍動、Rock’n ローヌ !

ローヌワインとの出会い、発見の機会であるプロ向けの試飲イベント「Découvertes en Vallée du Rhône ローヌ渓谷発見」が、去る4月10日から4日間、アヴィニヨンをはじめとする4会場で開催された。隔年開催のこのイベントは今年で9回目。各会場にはインポーター、ソムリエ、ワインショップバイヤー、ジャーナリストらが世界中から訪れ、好奇心旺盛なまなざしと熱気に包まれた。

 

まばゆい青空と陽気の中、試飲会の初日はアヴィニヨンの「パレ・デ・パプ(教皇庁)」を会場にスタートした。4日間の出展者数は600社、登録した参加者は世界約40か国から3000人と、年々国際的になっているという。まずはローヌワイン委員会会長のミッシェル・シャプティエと同代表のエリック・ロザによるプレス・コンフェランスが開かれ、最新ヴィンテージの特徴、販売状況、市場傾向などについて解説がなされた。

 

<優良年かつ植付け微増で、品質も生産量も上向き>

多くのアペラシオンで現在販売中の2015年と、間もなくリリースされる2016年について、「毎年“世紀のヴィンテージ”と謳う地方と同じだとは思われたくはないけれど」と前置きしつつも、2年続けて素晴らしい収穫年に恵まれたと強調した。2015年は、赤ワインにおいては1990年を彷彿させ、とても濃厚で潜在能力を持つ類稀な出来となった。2016年は、酸と糖度、あらゆる要素のバランスが非常によく、鮮烈な香りと濃厚さを兼ねそろえているという。

収穫量については、15年、16年ともに、全28アペラシオン、約7万haの年間平均生産量約300万hlよりやや多く、16年は306万3,816hl (15年比+1%)。冬の霜害に悩まされた12年、乾燥に苦しんだ13年の激減を乗り越え、安定感を取り戻した。

この収穫量微増の要因として、気候に恵まれたことだけでなく、2011年以降、徐々に畑の面積が増えていることも指摘された。2016年には新たな植付けが約620haあり、現在植え替え準備が進められている畑が約3000haと、今後引き続き品質向上を伴う生産量増加に向けてポジティブな動きであるとのことだ。

また試飲会場内のスタンドも緑色の「Bio」の表示が目についたが、「Bio」の栽培面積も約6000haで全体の8%となり、年々その意識は高まっているようだ。

 

<市場もダイナミックに、若い世代に向けて>

フランス全体のスティルワインの2016年度輸出量は前年比で2%減少したが、ローヌ地方も91万3000 hlで2.7%の減少。これは主に欧州市場の失速に起因するという。とはいえ、金額ベースでは4臆6000万ユーロと安定しており、市場における付加価値の上昇ともいえると考えられている。

主な輸出先は、量ベースで(1)イギリス、(2)ベルギー、(3)アメリカ、金額ベースで(1)アメリカ、(2)イギリス、(3)ベルギーの順。近年上昇率の高い市場は、(1)スウェーデンで前年比約30%の上昇、(2)中国、(3)アメリカ、カナダとのことで、アングロサクソンの国々での上昇は、すでに他国でも生産されているシラーやグルナッシュという品種への親近感からではないかとのこと。一方中国に関しては、お茶を飲む習慣がありタンニンなど渋みへの慣れから赤ワインが好まれるのではないかとの分析だ。

日本市場は金額ベースで11番目の市場だが、「ニッチな市場」といわれ、こだわりを持つ生産者のよき理解者であると捉えられているようだ。その他、今後期待される市場として、ノルウェー、ポーランド、台湾、シンガポール、オーストラリアなどが挙げられた。

世界中から訪れた会場内の参加者は(その平均年齢は出されないものの)、他地方での同様のイベントと比較して若い世代が多いように感じた。そのエネルギッシュでパワフルな味わいからか、より若者に親しまれている様子は伝わってくる。生産者側も世代交代や若手の進出など、各地域とも、ほどよい躍動感を感じた。

今後のさらなる展開は、若い世代に好まれるワインとしてのイメージ戦略や、料理、ガストロノミ―と絡めた提案、ワイン観光の促進などに力を注いでいくとのことだ。

 

<白ワインの潮流、そのポテンシャルは?>

ローヌ地方における赤ワインの生産は2016年も81%を占め、ロゼ13%、白6%と、依然として「赤ワイン王国」の色合いは強い。一方、まだ数字には顕著に表れないものの、世界市場の二―ズの高まりを受けて、ロゼや白ワインの生産にも力が入れられつつあることも指摘された。(T. Inoue)

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