「フェヴレ」チーフワインメーカー ジェローム・フルース初来日!

フェヴレは、2006年にエルワン・フェヴレが7代目当主に就任して以来、多くの改革を行なってきた。そしてエルワンがチーフワインメーカーとして白羽の矢を立てたのは、ジェローム・フルースだった。初来日したジェロームに、2007年からのフェヴレ勤務10年間を振り返り語ってもらった。

 

<2007年チーフワインメーカーに就任&変革>

エルワン・フェヴレ

ジェローム・フルースは栽培と醸造はボルドーで学んだ。ボルドー生まれで、祖父はソーテルヌの栽培家だった。シャトー・ギローやスミス・オー・ラフィットで仕事をした経験もある。しかし故郷のボルドーを離れ、2000年にはブルゴーニュで仕事を始めていた。畑仕事から熟成まで、多くのドメーヌに対してコンサルタントや技術的な支援をする会社に勤めていた。フェヴレに誘われたのは、その手腕を買われてのことだった。

着任してすぐに行ったことは、スタイルの変革だ。先代のフランソワ・フェヴレの時代には、タンニンががっちりとして若い頃にはなかなか飲みにくい造りだった。しかしエルワンが望むのは、丸みのあるストラクチャーで、テロワールの特性が表現されていて、しかも長期熟成も可能なスタイルだ。

 

*畑

まず畑仕事を変えた。自社畑の特級と1級をいくつかに分割しそれぞれスタッフに割り当て、年間通しての担当制にした。より責任感のある体制にしたのだ。ヴィラージュと若い畑については、チームで管理するようにした。すると、すぐによい効果を表すようになった。

例えば、40代半ばの女性の場合、ラトリシエール・シャンベルタン、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズなど、樹齢35〜50年の特級と1級を任せている。1人3.3〜3.6haを担当する「タシュロン」と呼ぶ専門職で、勤務時間を管理するのではなく「結果を出せばよい」というシステムだ。だから、成長や天候に合わせていつ仕事をしてもよい。彼らを統括しているのは、ジェロームの元にいる栽培責任者だ。

「給与は高くつくが、自然を相手にする仕事なのでブルゴーニュではこの方法が増えてきているD.R.C.なども採用している。例えばこの3月は寒かったので彼らは家にいて何もすることがなかった。でも気温が上がり雨も降り、という状況になると土日も仕事をしなければならない。社内の畑のスタッフも、このシステムにステップアップする人が出てきた」。

 

*設備

また、ある程度の投資も依頼した。2007年に主に特級用として木製醗酵槽を購入してもらった。そして縦型のプレス機を買ってもらい、ソフトな圧搾ができるようになった。

「縦型の垂直圧搾機の利点は、優しくプレスできること。だから、タンニンがよく出る畑やピジャージュするような畑、あるいはそのようなヴィンテージにはこちらを使う。ミュジニー、シャンボール・ミュジニー・レ・フュエ、アムルーズなどの小さな区画のキュヴェもすべて縦型。空気式は、タンニンがあまり出ない区画やヴィンテージをこちらで必要だと思う分だけ抽出する。若木もタンニンが少ないので全て空気式」。

 

*醸造

着任した2007年に、葡萄をポンプとチューブで送るのをやめ、すべて直接醗酵槽へ入れるようにした。低温浸漬はしていて、その後はそれほど変わらない。しかし、マセレーション期間が数週間あり長かったので苦味が出たりタンニンが強い傾向だった。2000年や2001年のワインは、圧搾直後はタンニンがとても多く試飲するのが大変だったが、今ではその時点でもう飲める。醗酵終了とともに、あるいは少し糖分が残っていても圧搾して樽へ移動させる。樽の中で醗酵を続けることがワインに複雑性を与えることもある。

 

加えて「畑のキャラクターを把握するのに5年ほど待ってほしい」とも告げた。毎年気候の違いもあるため、それらも踏まえて性格を把握したいと考えてのことだ。

 

<2012年から二段階目へ/ドメーヌに近い小さなネゴシアン>

今年完成するニュイ・サン・ジョルジュの醸造所

ジェロームは「2012年から次の段階へ進むことになった」と言う。メルキュレイのセラーを全面的に変え、新築した。醗酵槽は木製とコンクリートだ。温度コントロールができるようになり、正確に抽出できるようになった。清潔な上にタンクによる差が少なく、ストレートにワインの性格が出せるようになった。

2016年にはニュイ・サン・ジョルジュの醸造所も全面改装に着手し、今年には完成する予定で、品質のさらなる向上が期待できる。こちらは全て木製の醗酵槽となる。「もちろん天候の助けもあったが、このような改革によってよりアロマティックで柔らかいスタイルへと変わってきた」。

 

また、25歳で当主になった若きエルワンを助けコンサルタントを9年間勤めたベルナール・エルヴェの存在も大きかったという。バタール・モンラッシェ、ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ、ポマール・レ・リュジアン、ヴォルネー・フルミエなどを買えたのは彼の功績だという。

2013年にはジュヴレ・シャンベルタンで20haの特級と1級を所有するドメーヌを買収できた。

2014年にはシャブリのドメーヌ・ビヨー・シモンも。これらも彼の人脈や働きによって手に入れたものだ。ビヨー・シモンには独立性を尊重し現地の統括者がいて、基本的にはラベルも分けているが、週に1度はジェロームが確認に行っている。

ジュヴレの畑はフェヴレへ統合し、例えばカズティエの畑はもともとのフェヴレのカズティエとブレンドしている。「ジュヴレやニュイ・サン・ジョルジュの畑も購入しているが、目的は多くのキュヴェを出すことではなく品質を高めることにある」。例えば、2012年まではジュヴレ・シャンベルタンは買い葡萄も使っていたため「ジョセフ・フェヴレ」のラベル(ネゴシアンライン)2013年からは既存の自社畑+新規購入畑の葡萄で造り始めたので「ドメーヌ・フェヴレ」として販売を始めた。

ジェロームは、フェヴレが「ネゴシアン」と呼ばれるのに少し違和感を感じているようだ。「フェヴレはいわゆる大手ネゴシアンとは比べものにならない小規模生産で、今130haの自社畑で生産の80%を賄っている。ブルゴーニュ・ルージュだけは買い葡萄が主体だが、他の銘柄はほとんどドメーヌもの」。可能なら、将来100%自社畑、という方向へ向かってほしいとも夢見ている。

 

<2014年ヴィンテージ>

2014年は、若いうちから飲める、わかりやすく近づきやすいワインができた、とても良い年だった。フェノールが十分に成熟し、色も出てタンニンもほどよく、チャーミングだが熟成のポテンシャルもある。傑出した、とは言えないが良い年。フランソワ・フェヴレの男性的な造りとエルワンのソフトなタイプとの、ちょうど間にあるバランスがよくとれたヴィンテージだと思っている。

また、2014年には垂直式プレスが活躍したという。「雹が降った畑の特徴の乾いたタンニンを抽出することなくプレスができた」。雹の被害を受けると、人でいえば「かさぶた」のようなものができる。その影響で、葉っぱが被害を受けると光合成に影響が出ることが理由のようだ。

 

2014 Mercurey 1er Cru Clos des Myglands (Monopole)

メルキュレにフェヴレが所有する6.3haのモノポールの畑。1963年植樹の古木もある。真東向き斜面で暑いクリマ。土壌は粘土質が多く色がよく出て、柔らかく力のある味わいに。2014年は新しい醸造所で造られた。大きなタンク4つのうちひとつが木製。14ヶ月樽熟成で30%新樽。

まだ香りは閉じ気味ながら、濃いラズベリーとスパイスにバニラ系の香りも。アタックはなめらかで、充実したミドルパレットで厚みも十分にあり、タンニンもきっちりバランス。ストラクチャーもしっかりし、まだ若い状態。

同じくメルキュレで所有するモノポールのフランボワジエールとの違いを尋ねると、1km離れているという。クロ・デ・ミグランは丘の下方にあり若干収穫時期が早い。フランボワジエールは丘の上の方にあり50m標高が高く涼しい上に粘土やレキ岩の含硫率も低炒めで、クロ・デ・ミグランほどの深みが出ない。

 

2013 Gevrey-Chambertin

2013年は成長がゆっくりと進み、昔のように10月上旬に収穫開始と親交が遅い年だった。そのおかげでフェノールがよく成熟し酸もしっかりと保たれた。2008年よりもアロマがあり、酒質は強くフルーツも豊かだ。ライチや胡椒の香りが特徴的だ。今はまだ少し閉じているが濃縮感はある。涼やかな香りで、上品。しっとりとしたアタックで繊細且つ芯はしっかりとしてストラクチャーもある。

 

 

2014 Gevrey-Chambertin 1er Cru Les Cazetiers

現在、カズティエの面積の半分はフェヴレが所有していることになる。今でも良いがこれから5、6年するとさらによくなる。広がりのある香りで、豊かな果実とほんのりスパイス香が感じられ、よく馴染んでいる。なめらかなアタックで、熟度が高いせいか酸は優しく感じるが、タンニンのストラクチャーしっかり。

 

2014 Corton Clos des Cortons Faiveley (Monopole)

2.85ha所有。ミネラル感があり、リッチでエネルギーを感じる。この年は少し雹の被害を受け、そのせいかスモーキーな香りあるいは樽のトースト香を感じる。果実の熟度が高く、フルーツはハツラツとしている。しなやかなアタックでまだ若い。タンニンも豊かだが丸い。

 

「2016年が、今までずっと行ってきた改革の結果が最も反映できた年ではないだろうか。実は、2012年頃から少し昔に戻るというか、もう少しストラクチャーがあってもよいのでは、と思いマイナー・チェンジしている。その結果、2015年はバランスがうまく取れた。そして、自分で最も納得しているのは2016年。ともあれ、バランスを最も大切にしている」。

今後の2015年、2016年のリリースも楽しみだ。(Y. Nagoshi)

輸入元/画像提供:ラック・コーポレーション

 

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