EUワイン関税2019年即時撤廃 フランスワインの首位復帰なるか

日本とEU(欧州連合)のEPA(経済連携協定)交渉が大枠で合意に達したと報道されている。ボトルワインの関税は2019年発効時に即時撤廃されるという。フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、ポルトガルなどのEU産ワインは安くなるのだろうか。

 

チリワインの関税は2007年から段階的に下がり2019年に撤廃される。一方、オーストラリアワインの関税は2021年に撤廃の予定だが、これは2019年に前倒しされるのだろうか。「米国第一」を掲げるトランプ政権が脱退を決めたTPPは発効8年目にワインの関税を撤廃する予定(該当するのはニュージーランド)で、こちらはどうなるのだろう。

 

気になるのはどれにも該当しない輸入量8位アルゼンチンと9位南アフリカだ(輸入量はまだ少ないけれどジョージア、モルドバ、イスラエルも)。輸入量トップ10の大方の国のワインが関税ゼロになった時、アルゼンチンと南アフリカに課税する意味があるのだろうか。

 

関税は自国産品を保護するための貿易障壁である。政府は日本ワインに競争力がついたからフランス、イタリア、スペインとがっぷり四つで組み合えると判断したのか、あるいは日本酒輸出のためのスケープゴートなのか。それなら、いっそのことボトルワインすべての関税をゼロにしたらどうか。大河の流れは放置して小川を二本だけ堰き止めるのは意味がないだろう。

 

今朝の新聞報道で気になったことがひとつ。朝日新聞がブルゴーニュ、サン・ロマンの生産者にこの件でインタビューし、「有力市場の日本でチリ産などに押されている現状を打開し、攻勢に転じるきっかけになると熱い視線を送る」と伝えている。ほんとうに関税撤廃がサン・ロマンを後押しするだろうか。

 

ボトルワインの現行関税は「輸入CIF価格の15%または125円/ℓのどちらか安い方」である。これはボトル1本あたり最大約94円である。サン・ロマンの小売価格をみると最も安いボトルでも3,400円で、大方は4,000円以上の値がついている。関税94円が撤廃されても「現状を打開し、攻勢に転じる」きっかけにはなりにくいと思うのだが。

 

チリワインの例を引くまでもなく関税の逓減・撤廃はスーパー店頭価格500円未満のワインに恵みをもたらす。だからEU産ワイン関税撤廃の恩恵に浴す一番手はスペインワインだろう。南イタリアやエミリア・ロマーニャのワインも有望だ。フランスならラングドックやボルドー・ジェネリックといったところか。ただ、見逃してならないのは品質である。チリワインが売れるのは安さだけではない。品質が安定して飲みやすいからだ。(K.Bansho)

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