米国西海岸ワインの市場動向:中高額ワインの需要は堅調だが、業務用市場の回復が鍵に

2016年のアメリカ産ワインの輸入量は98万ケースで、42.9%もの大幅な減少になった。これは期中にカルロロッシがボトル輸入から国内瓶詰めのためのバルク輸入に切り替わったため。WANDS誌の推定によると、国内瓶詰め品であるフランジア、カルロロッシを加えるとアメリカワインの総販売量は234 万ケースであったが、それでも前年比9.3%の減少だ。一方、ワインインスティテュート本部が発表している2016年中の米国産ワイン対日輸出実績は数量で19.9%減と2割近く減少し、236万ケースにとどまった。輸出金額では9.4%減。

今年1~5月の輸入実績をみると、2リットル以下の瓶詰めワインは34万6400ケースで3.2%増ながら、BIB を含む2リットル以上の大型容器入りワインは2万ケース足らず、前年比86.6%の大幅減少。両方合わせた輸入量は36 万6000 ケースで、36.2%減となっている。この最大の理由は、これまで5リットルBIBを製品輸入していたアルマデンがバルク輸入に切り替え、今年1月から国内詰めによる3リットルBIBを発売したことによる。これを裏付けるように同時期のバルク輸入は10%増の66 万7000ケースとなった。しかし、アルマデンの5月までの販売実績は前年比10%減。アサヒビールでは、「BIB の市場価格は相当安くなっている。アメリカ産に限らず、BIB 市場は飽和状態になっているのかも知れない。業務用市場が良くないことも販売不振の大きな理由だ」とコメントしている。

フランジアの5 月までの販売実績も6.6%減で、ウッドブリッジの3.4%減を含め、ここ数年のチリワインの台頭などによる影響を受け、低価格のアメリカワイン、BIB ワインは減少傾向にある」とみている。

今年5月までのバルクワインのリットルあたりCIF単価をみると、米国産は129円、チリ産は113円、オーストラリア産は117円。米国産はこの時点で10~15 円程度高くなっているが、EPAを締結しているチリ産やオーストラリア産の関税が無税であるのに対して、米国産は45円の税負担を強いられている。低価格ワインにとって水切価格段階でのリットル50円以上の価格差は無視できないハンディだ。カルルロッシを含め、米国産ワインというよりそれぞれブランドを立ててマーケティング展開している大手のジェネリックワイン銘柄にとってはなかなか厳しい市場環境下にある。

ワイン市場全体を眺めると、今年の第1四半期は厳しい状況が続いた。インポーター各社はいずれも3月までの販売実績が良くないという。一部の繁盛店を除く外食産業全体の冷え込みと、店頭市場も総需要が伸び悩んでいるからだ。昨2016年上半期は在庫調整のために有力量販店が新たな仕入れを控える傾向にあったが、これとの対比でも今年前半の販売実績は大きく上向いているようには見えない。

 

熟成肉ブームが続いている

中高級ワインの販売動向はどうだろうか。

ウェンテを輸入する明治屋は、生産者の来日に合わせたBTGプロモーションと品質訴求が効果を発揮しつつあるという。2000円クラスの販売増により、ワインビジネス全体の底上げを狙っている。

今年から、豪州および米国産ワインのダイレクトセールスを開始したトレジャリー・ワイン・エステーツは、そのための販売スタッフを増員し、オン、オフ両方の市場でこれまで以上に肌理細かい顧客開拓に取組始めた。

ワインインスタイルは今年6月下旬からナカトウが新しいオーナーとなり、新体制でワイン販売に取り組む。

米国産ワインを専門に扱うインポーターの今年上半期の業績は前年実績を超えているところが少なくない。ただ、一方で売上伸び率は予算水準までいっていないとするところもある。インポーター各社は例年、春から夏前にかけて、カリフォルニア、オレゴン&ワシントンの販促組織によるBTGプロモーションなどに参加することにより、売上の底上げをはかってきた。しかし今年は、「比較的リーズナブルな価格帯にあるワインの売れ行きが鈍っている」という声も聞かれる。これまで永年に亘り展開されてきたBTG プロモーションは米国産ワインを取り扱う料飲店の数と業態の広がりに大きく貢献してきたが、「全体として店が顧客を集客仕切れていない。月の頭はワインが出るが、後半以降は客足が伸び悩んでしまう」という。

こうした中で、……(編集部)

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