アサヒビールが日本ワイン事業拡充 余市に4haの農地を取得

アサヒビールは、今年2月に設立した農業生産法人「サントネージュ・ニッカ余市 ヴィンヤード株式会社」を通じて、3 月に北海道余市郡余市町梅川町に4ha のぶどう栽培用農地を取得した。5月から整地作業を始めており、来年5 月にはピノ・ノワール1.5ha を主体に、ピノ・グリ、ケルナー、シャルドネなど約7000本を垣根仕立てで植樹。2023年に約20トン、2000 箱のファースト・ヴィンテージ発売を目指す。また、ぶどう栽培に当たっては、日本ワインファンを対象に、ブドウ苗木の植樹や剪定作業などを体験できる「サントネージュ・ニッカ余市ヴィンヤードサポーター制度」を展開する予定だ。

さらに、今後も積極的に農地の取得を検討し、現在山梨牧丘に所有する自社試験圃場(1ha)や余市町畑を含め自社畑を合計10ha以上に拡張し、2025年には同社日本ワイン販売数量を現在の約7000箱からほぼ3倍の2万箱規模へと拡大を目指す。

今回拓かれた余市の農場はニッカウヰスキー北海道工場から車で西へおよそ10分。緩やかな南向き斜面にある。これまではリンゴ畑として使われていたが、排水性に優れているのが特徴だ。ニッカウヰスキーの北海道工場長である西川公一氏が農業生産法人の代表を兼務するほか、サントネージュの栽培責任者である宮川養一氏が取締役として参画し、畑の管理・運営を行っていく予定。余市にはまだぶどう畑として拡張できる可能性があり、機会があればさらに農地を拡張することや他の産地への自社畑展開も視野に入れていきたいとしている。

6月8日に会見した平野伸一社長、嶋保余市町長は要旨次のように語った。

平野社長 今回の日本ワイン造りに向けての農地取得は我が社におけるワイン事業戦略強化の一環だ。我が社は今年、1942年に設立されたワイナリー名を冠した日本ワインの新ブランド『サントネージュ』を発売した。山梨には自社畑を所有し、山形上ノ山では農業組合と40年以上にわたる深い付き合いを築いてきた。さらに今年4 月には山梨牧丘の契約農家の畑に甲州を定植、上ノ山でもソーヴィニヨン・ブランを定植するなど新しい品種栽培にも取り組んできた。我が社における日本ワイン販売量は2016年には7000 箱、前年比2割の増加となり、今年5月までの販売量も22%増と好調。今年は8000箱、できれば近いうちに1 万箱規模まで拡大したいと考えているが、ぶどうの調達が遅れているのが現状だ。

余市は1934年の大日本果汁(株) 設立以来、80年以上に亘り緊密な関係を築いてきた土地柄だが、今回、ぶどう栽培の適地として高い技術を培ってきた余市町の協力を得て醸造用ぶどう栽培の農地を確保することができた。醸造・充填などの設備面をどうするかはまだ検討中だが、2023年までにはここでできたワインを楽しめるゲストハウスを建設したい。

嶋保町長 余市とニッカは切っても切れない関係にある。マッサンのおかげで余市町の名前も広く知られるようになったが、最近ではワインづくりでも注目されるところとなっている。余市のぶどうの作付面積(約124ha)は北海道全体の30%を占めているが、年間収穫量(約700トン)は50%におよぶ。これは永年培われてきたぶどう栽培の技術力の高さを証明している。マッサンを中心とした観光産業とワインツーリズムを他には無いアドヴァンテージと位置づけて町政の柱としていきたい。       (M. Yoshino)

トップ画像:(右から)平野伸一、嶋保、西川浩一の各氏

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