<ワイン市場概況> 2017年上半期ワイン販売量ほぼ前年並 業務用市場の回復遅く、反転増勢の道遠い

日本のワイン市場は、一昨年から続く業務用市場の不振による停滞状況から依然として抜け出せていない。販売各社のことし上半期(1月~6月)のワイン販売量は、企業によって増えたり減ったりのでこぼこはあるが、全体をまとめると「ほぼ前年並」になった。関係者の大方の話を総合すると、「(ワインの売行きは)5月までは比較的堅調に推移していたが、6月1 日の改正酒税法の施行でずっと悪くなり、7月、8月もその傾向を引きずって前年割れを続けた」という。さらにワインのライトユーザーが、人気のハイボールやクラフトビールに移動しているという事実も見逃せない。

 

今回の酒税法の改訂点をかいつまむと、「酒類業者は正当な理由なく総販売原価を下回る価格で酒類を販売し続けてはいけない」ということになる。

これまで「総販売原価」は、仕入れ値に運送費を加えたものだったが、改正法はこれに人件費、広告費などを加えるよう求めている。これが6 月1 日に大きく報道された「国税庁による酒の安売り規制強化」の中味だ。

 

メーカー、卸から販売店へのリベートがあったから、従来の総販売原価の計算方式で販売店が値引き販売をしても利益をしっかり確保できていた。ところが法改正でメーカー、卸のリベートが減額されると、販売店は利益を確保するために店頭価格を引き上げるしかない。

 

もうひとつ、毎週末や毎月の特定の日に限って「特売日」を設ける売り方も規制の対象になった。6 月1 日にはビールの値上げばかりが報道されたが、じつはこの「酒の特売日」の廃止も同様に大きな出来事だった。一部のワインの中には、この「特売日」の恩恵に与って大きな売上げを作ってきたところがあったからだ。

 

さらにもうひとつ。6 月1 日の施行を前に一部のワインに駆け込み需要が生じ、その反動で6 月以降の注文が止まってしまったことも夏の販売減少の大きな要因だった。

(中略)

2017 年1 月~ 7 月のスティルワイン輸入量は、1,211 万ケース、前年同期比99.0%に留まった。一方、スパークリングワイン輸入量は200 万ケース、前年同期比105.1%で好調を維持している。

 

スティルワインの原産国別輸入量トップ10 をみると、増加しているのはチリワイン(104.4%)、イタリアワイン(100.8%)、オーストラリアワイン(109.9%)、南アフリカワイン(105.8%)、ニュージーランドワイン(102.6%)で、減少したのはフランスワイン(96.7%)、スペインワイン(99.8%)、米国ワイン(77.2%)、ドイツワイン(90.0%)、アルゼンチンワイン(57.4%)。ちょうど5か国ずつ増加国と減少国に分かれた。

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