ピルケのテロワールが育む ヴィニャ・マーティ「クロ・デ・ファ」

ヴィニャ・マーティは、20年以上にわたりバロン・フィリップ・ド・ロートシルトの醸造部門スタッフとして活躍してきたフランス人醸造家パスカル・マーティが興したチリのワイナリー。パスカルはオーパスワンの立ち上げにかかわった後、1996年からはアルマヴィーヴァのコー・ジェネラル・マネージャーを務めてきたが、2008 年に自らのワイナリー「ディオニソスワインズ」を設立。2013 年からは自分の名前を冠したヴィニャ・マーティに社名を変更した。ボルドーの醸造・ブレンド技術を用いながらチリのテロワールにこだわったワインづくりを進めている。

輸入元トゥエンティワンコミュニティが開催したフードペアリングを愉しむ試飲セミナーに供されたのは3 種のワイン。

カサ・デル・セロ レゼルヴァ カベルネ・ソーヴィニヨン2015

CASA del CERRO は“丘の家” を意味し、ラベルには標高700mを超えるところに建てられたパスカル自身の家と畑が描かれている。比較的冷涼で小石混じりの砂質土壌をもつクリコ・ヴァレーの果実の風味豊かなカベルネを主体に、よりタンニンの骨格がしっかりしたブドウを育むコルチャグアのカベルネをそれぞれ手摘みしてブレンド。「カシスやヒマラヤスギの香り。2015年は良いヴィンテージで、少しジャムのようなニュアンスもあるが、決してオーヴァーパワーではなく、後口にフレッシュさが感じられる」。ミディアムボディで飲み口がよいワイン。参考上代1600 円とコストパフォーマンスも高い。幅広い料理と合わせられそうだが、この日にペアリングされたのはオーストラリア産ローストビーフ。

コラゾン・デル・インディオ 2012

コルチャグアにある樹齢65年のカベルネ・ソーヴィニヨン55%に、マウレ産のカルメネール30%とシラーを15%ブレンド。発酵温度25~27℃で、醸しは2週間。エッジは少しオレンジの色調が出始め、レッドペッパーやコンフィした果実の風味に加えて、時間とともにレザーやシガー、土っぽい香りが加わる。

このワインに合わせられたのはフランス産ビゴール豚の生ハム。「カルメネール系の熟成ワインには、アミノ酸含有の赤身肉や熟成し旨みをもった豚肉が合うだろう」というのが主催者の狙いだったが、「赤ワインを合わせる場合はタンパクの質を考える必要があるが、生ハムは塩気が強く、タンニンと合わせるよりもリースリングのように強めの酸をもった白ワインの方が向いているのではないか」とパスカルはコメントする。同感だ。

クロ・デ・ファ ヴィニャ・マーティ2010

アルト・マイポの一区画、標高が高いDOピルケにある2haの畑のブドウを使用したフラッグシップワイン。コラゾン・デル・インディオとほぼ同じように、カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロ37%、シラー13%という構成だが、こちらは40日かけて醸し、フランス産新樽で16か月熟成している。輝きと濃い色調をもった

ルビー色。赤系および黒系果実とともにヴァニラやチョコの香り。30日間熟成し、炭火でグリルした黒毛和牛のもも肉がリッチで円いタンニンに溶け込み、後口に感じるフレッシュな酸が舌を洗ってくれる。年間生産量はおよそ3500本。「アルト・マイポがオーメドックなら、砂質土壌で排水性に優れるピルケはポイヤックのような存在だ」と、パスカルは言う。(M. Yoshino)

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