「100年構想」を掲げ地域と共に活動する高畠ワイナリー

毎年地元山形で試飲会を開催していた高畠ワインは、今年は地元と東京の2ヶ所で行なった。「前任が2007年に『百年構想』を発表したが、今年はさらにそれを具体化し『100年構想』として前進していく。よりリーズナブルでお客様の手に取っていただきやすい良質なワイン造りを推し進めていく」と、村上健 代表取締役社長が口火を切った。

 

<2016年収穫状況>

四釜紳一製造部原料担当が、昨年2016年の収穫状況を説明した。

降水量は前半から7月までは少なかったが、8、9月がかなり多かった。気温は高めだったが、雨のため日照時間少なかった。

2013〜2016年の降水量を比較すると、13年は7月に洪水のような雨が降り、15年と16年は9月の雨が平年よりも多く、ブドウにはあまりよくない雨だった。15年の場合には10月の雨が極端に少ないので、マスカット・ベーリーAやカベルネ・ソーヴィニヨンなど晩熟の品種にはよかったが、早熟系は厳しかった。しかし16年は、雨量は少ないものの毎日続き日照量が少ない点で難しかった。14年は8月9月の降水量が極端に少なく何も問題なく恵まれた。

16年の気温は成育期間中ずっと平均よりも高かった。特に9月は雨が多く日較差が小さかったためブドウの成熟が鈍った。

 

<現在の高畠ワイナリーの動き>

次に、川邊久之 取締役製造部長が近年の動きについて以下のように解説した。

今までは契約農家に依存していたが、2015年に自社農園を購入した。最上川の近くなので暗渠排水整備を行い、ボルドー品種やヴィオニエを植えた。実は契約農家でもシラーがうまくいっており、期待している。今のところ自社畑は試験農場の上限面積までだが、今後は農業法人化も考えている。

また、オーパス・ワンをイメージしたガレージワイン造りも試し始めている。当初は海外原料による国産ワインを多く造っていたが次第に減っており、大型タンクを撤去売却することで新たなスペースを確保し、そこに100〜2000リットルの温度管理可能な密閉タンクを設置して優良な農家の小規模醸造をしていこうと考えている。

「100年構想」にある「世界基準でワイン造りを捉える」「地域とともにワイナリーを通じて活動する」ことの目的は、「ブランドの発信地」となり高品質ワインを造る地域の観光資源として、「日本のワイナリーの拠点」となることにある。ラインナップの中核として高畠のブドウを原料とするワインを造ることに加え、畑の拡充、醸造設備の充実、シンボルとなる小規模醸造場とゲストハウスの建設なども念頭に入れている。これらも、オーパス・ワンをイメージしている。

 

<テイスティング>

村上健 代表取締役社長(左手後ろ)、(前列左から)コメンテイターとして招かれた橘勝士氏、戸塚昭氏、川邊久之 取締役製造部長、松田旬一製 造部醸造担当チーフ四釜紳一製造部原料担当

いくつかのワインの試飲は、松田旬一 製造部醸造担当チーフによる解説とともに進み、橘勝士氏、戸塚昭氏がコメントした。

“ZODIAQUE” Pinot Gris 2015 (ゾディアックシリーズは全て)自社畑の垣根仕立て。戸塚:色も出ているし第2アロマが綺麗に出ている。口中の香りもよいが、少し樽香を抑えてもよいかもしれない。(クエン酸を代謝しない乳酸菌でMLFをしているのは)クエン酸を代謝するとダイアセチル、バター系の香りが出るが、それがないため日本人の嗜好を考えたよい手だと思う。

“ZODIAQUE” Chardonnay 2015 ブルゴーニュのシャルドネをイメージして造っている。橘:シャルドネの香りは菩提樹の香りと聞いているが、本当にこの香りがする。桃やプラム、あんずなども香る。結構スモーキーで樽香がしっかりしシュール・リーによるアミノ酸的要素も出ているので、もう少し熟成するとさらによいだろう。

“Majestique” L’Ogre Bleu 青おに 2014 メルロ85%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%。サンテミリオン,ポムロールをイメージして造っている。橘:これは日本人に好きな人が多いだろう。森のキノコの香りもわずかに出始めている。バランスよく飲みごたえがある。私としては合格だ

高畠醗泡デラウエア Brut Nature 2016 高畠町産有核(種あり)デラウエア。アンセストラル法でデゴルジュマンなし。戸塚:ファイニングがとてもよくできている。デラのよさも十分に出ていて欠点がない。一つの高畠のスタイルができている。*デラウエアの栽培減少を危惧し、種ありで最低価格200円/kgを保証して購入している。「JA山形おきたま」では、デラウエアの有核プログラムを推進している。収穫後に東京などに発送する場合、600〜800円/kgでも粗利の多くは資材・農薬・運賃などの経費で消える。生食用は250〜260時間/反の仕事量が必要で、例えばワイン用のシャルドネでは120〜125時間/反かかるが、種ありのワイン用デラであれば100時間/反でいける。また、栽培農家の繁忙期がすぎた11〜3月にかけて、瓶内二次醗酵のために仕事をしてもらうことも可能だと考えている。色々な意味で持続可能性のある銘柄になると期待される。(Y. Nagoshi)

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