「塩尻」を前面に出したラベルを冠し今秋より「塩尻ワイナリーシリーズ」新発売

1936年に開設された塩尻ワイナリーは、80年の歴史の中で時代に合わせて役割を果たしてきた。そして今、ジャパンプレミアムシリーズから独立し「塩尻ワイナリーシリーズ」として新たに歩み始めた。

 

<塩尻のテロワールと最適品種>

(右から)篠田健太郎 塩尻ワイナリー所長、赤羽誠治 塩尻市産業振興事業部ブランド観光課 専門幹、横江博和 サントリーワインインターナショナル専務執行役員、山本博保 塩尻市ブドウ生産者、花岡純也 長野県観光機構NAGANO WINEコーディネーター

サントリーワインインターナショナルの横江博和専務執行役員は、9月5日に新発売された「塩尻ワイナリーシリーズ」を紹介するにあたり、その役割の変遷についても触れた。

今年110周年を迎える、当時の赤玉ポートワイン(今の赤玉スイートワイン)の原料供給の拠点として始まり、1980年代にはメルロ、マスカット・ベーリーAの栽培をし始めた。2003年から塩尻100%の「桔梗ケ原メルロ2001」リリース、2010年から「ジャパンプレミアムシリーズ」発売となり、今回の独立に際してラベルも「塩尻」の文字が大きく記されたデザインに一新した。

これを受け、塩尻ワイナリーの篠田健太郎所長は、その特徴を説明した。

年間降水量は900〜1,000mmで、秋雨の影響は受けるが雪は少ない立地にあり、日較差の大きさが特徴として挙げられる。奈良井川の左岸にあるのが岩垂原、右岸が桔梗ケ原。川沿いの河岸段丘で、どちらも700m級の標高にあり御嶽山からの火山灰土壌だが性質が異なる。岩垂原はシルトと礫質のため水はけがよくドライなため凝縮感あるワインになり、桔梗ケ原はシルトで水はけがよいが少し湿り気があるためアロマが高いワインになる。

そして9月から10月にかけての最低気温が他地域よりも低いため、アロマとポリフェノール成分が蓄積しやすく酸も保てる。この点に注目しメルロとマスカット・ベーリーAに適していると判断した。

(中略)

<塩尻市の取り組み>

「味噌カツ風ささ身フライ」「信州ジビエ」「そば粉の山賊焼き」「ローストビーフ バルサミコソース 山葵添え」「ぶた角煮」など、銀座にあるレストラン「NAGANO WINE」花岡純也コーディネーターが考案した長野県の地方料理との相性も披露された

塩尻市産業振興事業部ブランド観光課の赤羽誠治専門幹は、塩尻市で行なっているワイン用ブドウ栽培についての取り組みを語った。

昨年から、移住・定住して新たなことにチャレンジする人を募るシティー・プロモーション・セクション、そして遊休農地の集約や栽培に必要な情報提供をし、農家やワイナリーの支援を行なっていくワイン産業振興本部を立ち上げた。

現在、ブドウの栽培農家は後継者不足が問題になっており、市の使命として担い手を育成しワイン産地として守る手立てを打たなければならないと考えている。

実際に塩尻市内にワイン用のブドウ栽培面積は270haある。しかし、生食用ブドウと比べると単価が安いため、積極的に取り組もうとする人が少ないという。例えばナイアガラは800〜1,200円/kg、他品種では1,800円/kgもある。しかしワイン用は単価が高目の糖度20度以上のシャルドネで270円/kg、糖度22度のメルロで350円/kgといったところだ。

現役の農家に聞き取りをして、栽培から引退したい時期が何年後なのかを一筆ごとに色分けし、ワイナリーや会社へ紹介する、というマッチングも3年前から行っている。(Y. Nagoshi)

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