パソ・ロブレスのワイナリー「ジャスティン」のカベルネを利く

「パソ・ロブレスはカリフォルニアにおいては比較的新しいワイン生産地で、直近15~ 20年間に急速に成長してきた。今日では300を超えるワイナリーが存在しているが、ジャスティンが創設された1981年当時はたったの6ワイナリーしかなかった」と、北アジアのリージョナル・セールス・ディレクターを務めるサラ・リオンさん。この地域が正式にAVA として認定されたのもそれから2 年後の1983 年からだ。

Justin Vineyards & Wineryは銀行家でボルドーワインの愛好家であったジャスティン・ボールドウィン氏が興したワイナリー。1997年にはロンドンのIWSCで、フラッグシップワイン「アイソセレス1994」がBest Blended Red Wine in the Worldに選ばれ、2015年にはワイン・エンシュージアスト誌によってWinery of the Yearを受賞するなど、パソ・ロブレスにおけるワイン産業を牽引してきたワイナリーのひとつだ。ジャスティンのカベルネ・ソーヴィニヨンは$20+で販売されるワインとしてはカリフォルニア州内のグロサリーでナンバー・ワン、全米でも2番目という人気の高いワインだという。2010年以降、このワイナリーはランドマーク・ヴィンヤードとともに、ステュワート&リンダ・レスニック夫妻が率いるワンダフル・カンパニーの傘下に入った。

パソ・ロブレスは花崗岩や砂岩、火山性堆積土壌、そして石灰岩など多様な土壌があり、40種以上の葡萄品種が栽培されている。1981年に開墾されたジャスティンのオリジナルの畑64haはパソ・ロブレスの西側、海から約20Kmのところにある。排水性に富む石灰質土壌、(ぶどうの成育期に)30℃以上ともなる昼夜の寒暖差がぶどうのゆっくりとした成育を促し、カベルネなどボルドー系品種にとって最適な栽培環境をもたらしているという。

輸入元のTYクリエーションが行ったプレス向けの試飲ランチョンで供されたのは4種のワイン。赤ワインはいずれも、コーティングされた黒色ボトルに赤色でロゴと名前をあしらったシックで印象的な意匠を採用している。

2012 CABERNET SAUVIGNON 手摘みされたカベルネ・ソーヴィニヨン100%を使い、アメリカンオーク(新樽30%)で14か月熟成。深いルビー色、カシスやブラックベリーなど熟した黒系果実の香りとハーブ、皮革、タバコのニュアンス。リッチで滑らかなテクスチャー。

2012 JUSTIFICATION カベルネ・フラン58%、メルロ42%をブレンドしたボルドー右岸スタイルのワイン。100%フランス産のオーク樽(新樽47%)で19か月熟成。エッジにややガーネットの色調が出始め、黒系果実とヴァニラ、シナモン、乾燥したハーブ香。凝縮した甘さのなかにフレッシュ感も。

2013 ISOSCELES カベルネ・ソーヴィニヨン75%、カベルネ・フラン16%、メルロ9%。フランス産バリック(新樽100%)で21か月熟成し、清澄や濾過を一切行わずにボトリング。豊かな香りが何層にも重なり、フルボディかつパワフルなワイン。アルコール分は16%もあるが、緻密なタンニンと円い酸が和牛ほほ肉の煮込みやダークチョコのケーキとも抜群の相性の良さを発揮した。セラーでの販売価格は$72とか。ナパのワインなら、その倍の価格でも通りそうだ。(M. Yoshino)

画像:北アジア地区ゼネラルマネージャーのシュウ・クレメンス氏と、同セールスディレクターのサラ・リオンさん

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