フレーバーホップビール、大手各社から続々と

クラフトビールが成長する中で注目を集めているのが、カスケードやネルソン・ソーヴィン、シトラなどの“フレーバーホップ”。これらは伝統的なアロマホップやビターホップとは明らかに異なる柑橘系の香りが特長だ。クラフトビールの先進国である米国、ニュージーランドに続き、ビール伝統国のドイツでも品種開発が進められ、マンダリナババリア、アリアナなどの新品種が登場している。

 

こうしたフレーバーホップを使ったビールが、アサヒ、キリン、サッポロのビール大手各社から続々と商品化されている。その背景には、クラフトビールの人気ももちろんあるがそれだけではない。ビールのライバル商材であるRTDは、多種多様なフレーバーを楽しめることが魅力のひとつであり、近年、若者や女性の支持を集めているからだ。

 

このため、フレーバーホップビールは、これまで画一的だったビールの多様化にとって、大きな牽引役としての役割が期待されているといえそうだ。

 

アサヒは今年の歳暮ギフト専用商品として限定醸造したドライプレミアム豊醸ワールドホップセレクション<華やかな薫り>に、ドイツ産「マンダリナババリア」(6%)を使用。オレンジのような甘い華やかな香りと麦のうまみが楽しめる。ワールドホップセレクションでは、この他、希少ホップのチェコ産「ザーツレイト」、米国産「レモンドロップ」で限定醸造したビールを加えた3種をラインナップした。

 

キリンは9月26日から、『グランドキリンホワイトエール』(5.5%)を通年販売し、缶製品もコンビニ限定で先行発売した。ネルソン・ソーヴィンホップ由来の白ワインを思わせる華やかな香りと小麦麦芽のやわらかな口当たりが特長。国産の素材にこだわった既存『グランドキリンJPL(ジャパン・ペールラガー)』にも、香りの良いネルソン・ソーヴィンホップを一部使用している。

 

サッポロはクラフトビール事業会社ジャパンプレミアムブリューの新ブランド『Innovative Brewer』を立ち上げ、その第一弾として、「THAT’s HOP Nelson Sauvinの真髄」(5%)と「THAT’s HOP 絶妙のMosaic&Citra」(4.5%)の2種類を10月3日からチャネル限定で新発売した。

従来のビールの既成概念にとらわれない独創的な価値提案を行い、新たなビールカテゴリーの創造に挑戦していく、という。Nelson Sauvinの真髄では、ネルソン・ソーヴィンホップを100%使用し、同社が独自に開発したドライホッピング製法(特許出願中)で白ワインを思わせる香りをうまく引き出した。(A.Horiguchi)

トップ画像:ドライプレミアム豊醸ワールドホップセレクション<華やかな薫り>

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