山から生まれる瓶内二次醗酵トレントDOC 海外で飲まれているNo.1トレントDOC ロータリRotari

海外で飲まれているNo.1トレントDOC

ロータリの拠点は、トレンティーノ地区の北部にある。ロータリの設立は1977年だが、1967年からスプマンテのトレントDOCを造り始めていた。2004年に完成した醸造所には結婚式やパーティーができるスペースもあり、訪問客は年間で4万人にのぼる。今海外で最も開けられている銘柄ロータリは、この地で名声高い兵士の名前に由来するという。

「トレンティーノは3,000m級の山に囲まれている場所だから、日較差が大きく香り高いシャルドネが得られる」と、エリア・マネージャーのマッテオ・アポロニーオが説明を始めた。午前中には北にあるアルプスからの冷たい風が流れ込む。そして午後からは南西部にあるガルダ湖からの温かい風も吹き込んでくる。ここは大陸性気候だが地中海性気候の影響も受けていて、より内陸に入ったアルト・アディジェはさらに大陸性気候で谷も狭いためグッと気温が低くなる。

土壌、標高、向き、微気候などが多様なため、栽培しているブドウ品種が多いが、ロータリではシャルドネ、そしてピノ・ノワールに特化している。

セラーからもドロミテが見える

栽培農家の組織

 丘の高い位置からロータリの醸造所が見える谷間を見た。平地の緑色に見える部分はリンゴ園だという。この谷底は4、5世紀前には湖の底だった。アディジェ川にぶつかる川が氾濫してできたものだ。しかし、ここでなんとか農業を始めて食物不足を解消しようと、川の流れを人為的に変えたため18世紀末から谷底で農作業が可能になった。

谷底が農地に変わると今度は山の斜面を切り拓きテラスをつくり、ブドウ畑に変えていった。それが現在のワイン産業に繋がっているのだが、一人一人が所有している畑は1haであったり0.5haであったりととても小さい。土地の値段が高いため、大きな土地を所有することは困難だったのだ。

そこで1904年に26名の栽培家が集まってコラボレーションし、できあがったワインを共同で販売することにした。これがロータリの前身となる。「この地域では、リンゴやミルクでも同様に組合を組織している。通常は政治的な理由が多いが、この土地では小さな農家が力を発揮するための集合体であり、必然から生まれた」と、統括醸造家ファビオ・トスカーナの後継を務めるエノロゴのルッチョ・マトリカルディは言う。

 ロータリでは、農家に一軒ずつにこまめにアドバイスをしている。「コンサルタントをしても、最終的な仕事は栽培家の責任によって行われる。しかしうちの強みは彼ら全員がシェア・ホルダーだという点だ。バルクワインは決して買わない」。合計で1,600人以上のメンバーを管理するのは大変なようだが、今でも年々会員数は増えている。安定した生活や名声を求めての移籍も多いようだ。

ちょうど出くわした父子は、伐採した木を運んでいた(トップ画像)。これから2,000本のシャルドネを植えるために畑を開墾するところだという。こうした小さな畑を合計すると2,500haになる。ここではアディジェ渓谷からトレンティーノの南部に至るまで、多くの畑から集まるブドウを扱っている。

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