山から生まれる瓶内二次醗酵トレントDOC 海外で飲まれているNo.1トレントDOC ロータリRotari

標高700mのチェンブラ渓谷

トレントDOCならでは

「アディジェ渓谷の標高が最も低い場所で220mある。フランチャコルタの場合には最も高い位置で192m。ここでは標高が高いためブドウが成熟した時にも気温が低く、酸度が保てるというアドバンテージがある」と、ルッチョ。つまり、熟度も酸度も高いブドウが収穫できるのだ。

ロータリ所属の畑は、ほとんどがペルゴラ仕立てだ。急斜面の狭いテラスの場合はスペースの問題でギュイヨにしているところもあるが、近年は再びペルゴラが見直されている。日中は暑いので、ペルゴラだとブドウの房が直射日光から守られ、風通しもよいのが利点だ。加えて、9月になるとぐっと気温が下がるため、保温効果も期待できる。

土壌は大きく分けると2種類ある。ひとつは「ドロミア」。フランスの地質学者ドロミエが名付けた土壌で、2009年にユネスコの世界遺産に登録されたドロミテ山塊を形成している。2億5000万年前にサンゴや貝殻でできあがった土壌で、白い部分はいわゆるチョークで成分はカルシウムとマグネシウム半分ずつ。ドロミテを見ると白い部分と灰色の部分が見えるが、灰色はチョークに溶岩が入り込んだもの。もうひとつは火山性の土壌で、ピンク色をしていているのは純粋な花崗岩だ。

濃い色の花崗岩

ドロミアは、カルシウムが多いため保水性がある。谷底の畑で10t/ha収穫できるところ、ドロミアでは8t/haほどになる。一方、花崗岩土壌では保水性が少なく年によっては灌漑が必要になるほどで、6t/haしか収穫できず、塩っぽさやミネラル感あるワインになる。花崗岩土壌を見るために訪ねた頭部に位置するチェンブラ渓谷のテラスの畑は、標高700mと高い位置にあるため日較差が大きい上、急斜面で狭いテラスのため700時間/haと仕事量が圧倒的に多い。

 

近年の進化

ここ10〜20年でブドウ栽培が随分進化したという。例えばクローン研究が進み、毎年30〜50haの畑をシャルドネ、ピノ・ノワールの選抜クローンに植え替えて適地適品種を目指して来た。今ではフランスからのものや地元サン・ミケーレ農業学校によるSMAクローンなど6種類ほどを採用している。

また、かつては植樹密度が低くY字型ペルゴラだったが、今は5,000〜6,000本/haで標高600mから800mの高地まで栽培している。標高が高い畑で1週間以上遅くに収穫することで、より豊かなアロマを得られるようになった。

これらのモダンな栽培アプローチの結果生まれたのが「アルペレジス」シリーズだ。

手摘みされたブドウはそれぞれの栽培農家が16の圧搾機が待つ醸造所まで運んでくる。栽培農家ごとに異なるブドウの性質を把握しているため、例えば酸が高めのシャルドネから熟度が高いシャルドネまでそれぞれ別の圧搾機へと誘導する。こうして80種類のシャルドネに選別され、醸造される。

フリーランのみを使用し、低温で清澄してから16℃で醗酵。2月頃まで澱とともにタンクで寝かせ、その間ワインの濁度を見ながら2週間に1度ほどバトナージュを行う。2次醗酵の後、24ヶ月から72ヶ月瓶内熟成させるが、ロータリではこの間に酵母からの影響を極力少なくするためにティラージュの時に加える酵母の量を最低限にとどめている。「通常スパークリングワインを仕立てるために他社が加えている量の2分の1から3分の1だけ」。トレントDOCならではの熟した果実の個性を最大限表現するためだ。

新たなキュヴェに挑戦することで、自ずとスタンダードのブリュットの品質向上にも寄与している。まだ今後も楽しみな造り手だ。

 

Brut 標高400m以上の畑のシャルドネ100%で、土壌はドロミアと花崗岩。5%は醗酵と3〜4ヶ月の熟成を小樽で行う。マロラクティックは25%。ドザージュ7〜8g/l。2017年3月ゴルジュマン。最もフルーティーなスタイルのキュヴェで「酵母の香りではなく太陽の恵みを受けた果実の香りを楽しんでほしい」と考えて造っている。蜜リンゴのような熟した果実の甘い香りで、なめらか且つフレッシュな味わい。「フランチャコルタはここより標高が低く酸を保つため8月初旬に収穫するが、ここでは黄色い果実の香りになるまで待てるので口中で自然な丸みを感じられる」。

Brut Rosé 75%のピノ・ノワールは9月第1週に収穫し色と香りを得るため18〜24時間マセレーション。25%シャルドネ。マロラクティックは25%。フレッシュでベリー系のしなやかな香りが立ち上り、ドザージュは7〜8g/lとブリュットと同じようだが味わいはよりタイトに感じられた。

Alperegis Extra Brut 2010 シャルドネ100%。2016年9月デゴルジュマン。初リリースは2013年だった。瓶内熟成48ヶ月以上。モダンな栽培アプローチの結果できたキュヴェ。8〜10%は3〜4回目の小樽で醗酵熟成。マロラクティックは50%。ドザージュ4.5g/l。確かによりアロマティックで、白桃、パイナップル、白い花、スパイス、アーモンドなどが香り、ほんのりトーストも。豊かな味わいで、フレッシュ感も心地よくテクスチャーが綺麗。塩っぽさもありバランスよい。

Alperegis Pas Dosé 2011 標高600〜700mのシャルドネを遅めに収穫。10〜20%を6時間ほどスキンコンタクト。15〜20%小樽で醗酵熟成。100%マロラクティック。48ヶ月以上瓶内熟成。2008年ヴィンテージを2014年に初リリース。キリッとしたタイトな香りだが、桃やアプリコットなどの熟した果実、バニラやトーストも香り、味わいは果実の豊かさも感じられ酸は穏やかで余韻はフレッシュ。

Alperegis Brut Rosé 2012 シャルドネ25%、ピノ・ノワール75%。ドザージュ6.5g/l。ピノ・ノワールは出来が毎年異なりアロマよりタンニンの質が異なる。標高450〜700mからの収穫だが年により違う畑を選ぶ。果実味が豊かでふっくらとしてまろやかな口当たり。

Flavio 2008 ロータリのトップ・キュヴェ。標高600〜800mの最もバランスの良いシャルドネ100%。50%近く樽醗酵・熟成。最後に収穫する。瓶内熟成6〜7年。熟した桃やアプリコット、スパイスやキャラメルなど豊かで複雑な香り。厚みもあり、酸もしっかりとして、全体にふくよかな印象。「熟度と酸のフレッシュさで、ここの地域性と伝統を最大限に表現した」。(Y. Nagoshi)

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