山から生まれる瓶内二次醗酵トレントDOC&ドロミテからガルダまでのスティルワイン コンチリオ Concilio

19世紀からの歴史

「コンチリオ」の本拠地は、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の南部にある。トレンティーノ地区の南に位置するイタリアで最も大きなガルダ湖の湖畔にある小さな村、モリでグリゴッリ家によって1860年に創立された。「コンチリオ」はトレントの司教の名前に由来するという。

グリゴッリ一族はこの地に国際品種をもたらしたことで知られていて、フラッグシップの「モリ・ヴェッチョ」はカベルネ(ソーヴィニヨンとフラン)とメルロのブレンドをした赤で早くも1967年が初ヴィンテージとなった。常に適材適所を見極めるのがここの流儀のひとつで、今のセレクション・シリーズはそれぞれの品種にとって最適な単一畑を選んだキュヴェだ。

周辺の栽培家と契約し次第に生産量を増やしていった。現在、400名が加盟し合計700haが属しているカンティーナ・ソシアル・ディ・トレントが100%親会社となり、その中から「コンチリオ」のポートフォリオに従い、品種、品質、量などの点から必要なブドウを選抜している。

醸造家でマネージャーも務めるジュゼッペ・セッキは「夏の最高気温35〜36度でも夜間は16〜18℃と20℃も下がる。日較差が大きいため、香りが高く酸が保たれるのが大きなアドバンテージとなる。その特性を生かしたワイン造りを心がけている」と説明した。

 

ブドウの管理

 ブドウ畑の仕立てはペルゴラとギュイヨで「20年前にギュイヨやコルドンへの変換がトレンドになったが、今では温暖化も考慮に入れ、ブドウの房に直射日光が当たらず少し日陰を与えられ、土壌も乾燥しすぎないペルゴラが見直されてきている」と、栽培責任者のガブリエレ・レスはいう。赤用ブドウには直射日光の当たるギュイヨの方が適しているが、全体の70%がペルゴラで特に白ブドウに有効だと考えている。

ペルゴラ・トレンティーノは、太陽に向かって45度上向きに棚部分が傾斜している。風通しがよいのも利点のひとつで健全に保てる手立てとなっている。足を運んだ畑の樹齢は30年ほどで、収穫量は約10t/haだ。

ブドウ品種は白用が主体で、シャルドネとピノ・グリージョの割合が高くそれぞれ30%ほどだが、近年ピノ・グリージョの比率がシャルドネを上回るようになった。その他には、ゲヴルツトラミネールやミュラー・トゥルガウも扱っている。

赤用品種は、伝統品種のテロルデーゴ・ロタリアーノ、マルツェミーノにつづき、カベルネ2種とメルロ、加えてラグレインが挙げられる。ラグレインは、酸もタンニンも強く粗々しいワインになると言われているが、ここの単一畑キュヴェにはそういう様子は感じられなかった。選ばれた畑のブドウというだけでなく、手をかけた造りをしているとわかる。

 醸造所の言わば入り口では、栽培家が収穫したブドウを持ち込んで除梗破砕機に入れるときに写真撮影される仕組みになっていた。クローン、樹齢、場所、向き、土壌などの条件によってブドウを選別し、受け入れ前に分析しているが、その結果とともに写真も管理している。最終的にどこの畑のどのブドウからどのようなワインが得られたのか、照合できる。毎年の経験でおよそ把握できているとはいえ、仔細な資料でいつでも確認できる。栽培家にとっても1年間の仕事の証となるわけだ。

畑の位置を標高でみると200〜700mまでと幅広いが、特にシャルドネについては600m以上のものが重要だと考えている。標高が上がるとともに気温が下がるだけでなく、土壌も沖積土壌から岩へと変わり、石灰岩や玄武岩が多くなるからだ。

今年2017年はブドウの成長が早く、8月18日にスパークリングワイン用の収穫から開始し9月末には収穫が終了した。雨が降らなかった、という意味ではよい年だったが、春の遅霜により特に谷間にあるギュイヨの被害が大きかったようだ。2014年は雨のため急ぎ収穫しなければならないという理由で数品種を混醸しなければならないケースもあったが、今年はきちんと分けて醸造できた。

 

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