Chilean Coastal Pinot Noir チリ生まれ潮風のピノ・ノワール モンテス・アルファ・スペシャル・キュヴェ・ピノ・ノワール2015

DOアコンカグア・コスタのサパジャルに畑がある。

サパジャルは太平洋に面した海辺の小さな村で、寒冷な気候と背後にすぐ沿岸山地が迫っているため耕作地が確保できない。このブドウ畑は海岸線から7km内陸に入った沿岸丘陵の斜面を開拓したものだ。海抜高度は120m~150mである。近隣にあるエラスリスのアコンカグア・コスタ畑と同様、沿岸山地の中ほどに拓いたので、海風と朝霧の影響を強く受けている。夜間の気温はとても低く、濃い朝霧に覆われる。日が昇ると徐々に霧は晴れ、ブドウ樹は強い日射に晒されるが、つねに冷たい海からの風が吹いており気温が大きく上昇することはない。

 

この丘陵地の土壌は粘土に花崗岩の混ざった崩積土で水はけがよい。ところどころに岩が剥き出しになった箇所もある。ブドウはゆっくり熟すので、ピノ・ノワールの収穫は3月中旬から4月上旬(北半球の9月中旬から10月上旬)にかけて。昼夜の大きな寒暖差がブドウの酸味を保持し、香りの豊かさをつくりだす。収穫量は5トン/ha(30~35hℓ/ha)。モンテスはカサブランカとレイダの畑でもピノ・ノワールを栽培しているが、スペシャル・キュヴェに使うのはサパジャル産だけ。

 

早朝に手摘みされたブドウを10kg容量の収穫箱に入れてワイナリーへと運ぶ。房のまま選別台を通し、除梗したあとの果粒をもう一度選別する。破砕せずにステンレスの開放タンクに入れる。10日間のコールド・マセレーションを経て、徐々にタンクの温度を上げると酵母が活動しはじめる。アルコール発酵の最後の7日間は22℃~25℃になるよう温度を制御している。一日に二度のパンチダウンを施し、色素とアロマの抽出に努める。ブレンドの半分はワインの瑞々しさを保つためにアルコール発酵が完了するまえにバリックに入れ、残りの半分は完全に発酵が終わってからバリックに移す。樽の中でマロラクティック発酵がおこり、その後10か月の樽熟成をする(全体の35%は少し長く12 か月)。熟成樽の20%はフレンチオークの新樽、残りは一空き、二空き樽。いずれもブルゴーニュの複数の製樽会社から購入している。

 

ブラインド・テイスティングの時には、このワインが最も力強かった。それはアコンカグア・コスタのテロワールに由るというより、まだワインが熱いうちにバリックに移したり、新樽を使ったりしていることと関係しているのだろう。

 

色合いはルビー・レッドの比較的濃いもの。果実のアロマはチェリー、ラズベリーだけでなくレッド・カラントや熟したプラムまで幅広い。そしてオーク樽由来と思われるバニラなどのスパイスの香りが口中にも広がる。口当たりはとてもフレッシュで心地よいものだ。滑らかでシルキーなタンニン、口中の膨らみや厚みがある。きれいな酸味が効いていて口中にもストロベリーやラズベリー、シナモンなどの香りが広がる。余韻に感じる微かな塩味のミネラルがこのワインの出所を物語っている。(輸入元:エノテカ株式会社)

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