セントラル・コーストのぶどうを使い食事とともにデイリーに愉しめるロバート・モンダヴィ「プライベート・セレクション」

今日、ナパ・ヴァレーが世界に冠たるワインの銘醸地と呼ばれるようになったのは、“カリフォルニアワインの父”と呼ばれる故ロバート・モンダヴィ(1913~2008)が大きく貢献していることは衆人が認めるところだ。それまで、カリフォルニアで造られるワインといえばジェネリックの赤ワイン、白ワインしかなかった時代に、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネなどのヴァラエタルのコンセプトを初めて導入し、特に“フュメ・ブラン”では大成功を収めた。また、高品質ワインをつくるためにフランス産のオーク樽を使ったのもロバートが最初だと言われている。

そして、ロバートにはもうひとつ見逃せない大きな功績がある。90年代初頭、冷涼地セントラル・コーストのポテンシャルに着目し、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーの新しいブランド「プライベート・セレクション」(当初はコースタルと呼ばれていた)のワインを94年に初リリースしたことだ。

「イタリア系移民の両親の元に誕生したロバートは10歳の時、家族とともにローダイに移住した。以来、畑のなかで育った彼は、高品質のワインをつくることが生涯を通じてのパッションとなった。彼は1966年にナパ・オークヴィルに興した自らのワイナリーでワールドクラスのワインをつくるとともに、アメリカではワインを飲む習慣がほとんど無かった時代にあって、もっとカジュアルで、イタリアのように毎日の食卓にワインがあるような文化を造ることを夢見ていた。そうして誕生したのがエントリーレベルのワイン、ウッドブリッジだ。そしてそれに続いて彼が目指したのは、お手頃な価格で愉しめながら、さらに高品質なワインをつくることだった。“ワインの造り手達が自分の家族や親しい人たちと一緒に食事の時間を愉しむことができるちょっと良いワイン” ―― それが冷涼地のぶどうをつかったプライベート・セレクションだ」

2015年からロバート・モンダヴィ「プライベート・セレクション」のシニアワインメーカーを務めているジェイソン・ドッジ氏は、ポートランド生まれ。約20年にわたりワイン醸造に携わってきた。彼の指揮の下で数年前に立ち上がったのが「バーボン・バレル・プロジェクト」。最良の畑の最良のぶどうを使い、バーボン樽で熟成したこのワインは、2014年産のカベルネが2016年に初リリースされた。しかし生産量が少なく直ぐに売り切れ。今年初リリースされたシャルドネもアロケーションで、海外での発売は未定。
プライベート・セレクションのシンプルかつ印象的なラベル。黒色の地に白く描かれている塔はオークヴィルにあるロバート・モンダヴィ・ワイナリーにある塔をシンボライズしたもの。その下にあしらわれた3本の波はセントラル・コースト特有の“霧と風”をイメージしている。

「プライベート・セレクションでは、シェフがスパイスを振りかけることによって素材の特徴をきわだたせるように、メインとなる品種にごく少量の他の品種をブレンドすることにより、凝縮感と豊かなアロマがあり、一歩先を行くワインラバー達もデイリーに楽しめるようなワインを目指している」と、ワインメーカーのジェイソン・ドッジは語る。

 

プレミアム・ワインセクターでTOP10にランクされる人気ワイン

プライベート・セレクションは、主に冷涼地のセントラル・コースト産のぶどうを厳選したワインで、モンダヴィのウッドブリッジとナパ・ヴァレーシリーズの中間に位置するブランド。今日、米国におけるプレミアム・カリフォルニアワイン市場では、販売量においてトップ10(※)にランクされるワインブランドであり、直近では、「2017 Denver International Wine Festival」で金賞を多数受賞するなど、高い評価を獲得している。

※出典:IRI MULO+C, California Premium Glass ($8-10.99), 12wks ending, 9-04-16

ロバートはプライベート・セレクションを造るに当たり、90年代初頭からセントラル・コースト各地にぶどう畑を拡げた。

例えば、モントレー・カウンティの北部は比較的冷涼、南部は比較的温暖といわれるが、共通してモントレー湾から流れ込む海風の影響を受けている。日中の陽光で暖められた気温は夕方から発生する霧のおかげで夜温が下がり、穏やかで長い生育期間をぶどうにもたらしている。この結果、白は品種の特性を反映しつつ凝縮した果実の風味と豊かで自然な酸をもったワインに、また赤も色乗りの良い、リッチなフレーヴァーをもったワインを生み出している。

プライベート・セレクションではモントレーにとどまらず、さらに南に下ったパソ・ロブレス、サン・ルイ・オビスポ、サンタ・バーバラ、そして一部はローダイからもぶどうを調達。自社畑と契約畑を合わせたプライベート・セレクションのための自社管理畑は全部で2800haまで拡げられている。

全てのぶどうはモントレー北部にあるゴンザレス・ワイナリーに運ばれ、そこで醸造、熟成が行われている。

プライベート・セレクションのなかから日本でも購入可能な白3種、赤4種を試飲した。

Pinot Grigio 2014

モントレー北部のピノ・グリージョを主体に、アルバリーニョとモスカート/マルヴァジーアをごく少量ブレンド。アルバリーニョはミッド・パレットのボリューム感を、モスカートはアロマを引き出す役割を果たしている。ライムや・グレープフルーツ、オイリーなテクスチャー、そしてピュアな酸が快適で、「どちらかといえば、ピノ・グリのスタイルを目指している」。これと合わせるお薦めの料理は、寿司やサラダ、パスタ、シーフードと幅広い。

Sauvignon Blanc 2015

モンダヴィ・ナパのフュメ・ブランが100%樽発酵によりトースティで味わいに複雑さをもたせているのに対し、プライベート・セレクションのソーヴィニヨンは樽を使わず、よりクリーンで品種由来の果実の風味が前面に。トロピカルフルーツとともに若草やレモンゼストのニュアンスも。ぶどうはモントレーとサンタ・バーバラから。2015年は5%ほどモスカートをブレンドしているが、時にはマルヴァジーアを加えてよりハーブやフローラルな香りを付け加えることもある。

「カリフォルニアでは多くの造り手がニュージーランドのようなソーヴィニヨンを造ろうしているが、自分が目指しているのはカリフォルニア独自のソーヴィニヨン。酸が多いので少し残糖を残してバランスをとっている」。

Chardonnay 2016

モントレー北部のシャルドネをベースに、70%はフレンチオーク樽で熟成し、MLFによりリッチでクリーミーなテクスチャーを実現。また、2016年産はわずかに樽発酵を行ったローダイ産のヴィオニエをブレンドし、トロピカルフルーツなどのアロマと中盤の味わいに厚みをもたらしている。熟した果実の風味にヴァニラのヒント、クリーミーなマウスフィールと豊かな酸が調和し、フードフレンドリーな仕上がり。

Pinot Noir 2016

モントレー北部の自社畑産ピノ・ノワールを主体に、ローダイのぶどうも使用。少し強めにトーストしたフランス産オーク樽100%で10か月熟成。わずかに、シラーとグルナッシュをブレンドすることで、ワインにソフトなタンニンと、魅力的なストロベリーの風味を加味している。ピノ・ノワールとしては黒系の色調が濃いが、これはぶどうがよく熟した2016年の特徴のひとつだ。

Zinfandel 2015

パソ・ロブレス産のジンファンデルに、ごく少量ローダイ産のプティ・シラーをブレンドし、熟した果実の風味とストラクチャーを与えている。過熟でプラムやジャムのようなニュアンスが出ないように収穫のタイミングをやや早めにしている。フランス産とアメリカ産の樽をほぼ半分ずつ使い、10か月熟成。Alc.13.5%。甘い果実の風味をきれいな酸が下支えし、エレガントさも備えたチャーミングな味わい。

Cabernet Sauvignon 2015

モントレー南部とパソ・ロブレス、一部ローダイのぶどうも使い、フレンチオーク60%、アメリカンオーク40%の比率で10か月熟成。このワインにも一部、プティ・シラーとシラーをブレンド。プティ・シラーはダークベリーの風味とストラクチャー、シラーは熟した果実味と円いテクスチャーをもたらしている。ブラックベリーなどの甘い果実香と、後半には杉や土っぽいノート。フィニッシュにはキレの良い酸が感じられ、クリスピー。若い内から楽しめるアプローチアブルな味わい。

Heritage Red Blend 2015

シラーとメルロを主体に、プティ・シラー、ジンファンデル、マルベック、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド-の計7品種をブレンド。シラーとメルロが円くソフトなタンニンを、残りの5品種が深い色合いやストラクチャー、幾重にも重なる香味の複雑性をもたらしている。「フラッシー(はっとするようなインパクトの強さがあり)で、ヴァニラやトースト、クローブやシナモンなどのベイキング・スパイスの香りを楽しめるワイン」だ。

輸入元:メルシャン

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