Chilean Coastal Pinot Noirチリ生まれ潮風のピノ・ノワール コノスル・20バレル・リミテッド・エディション・ピノ・ノワール2015

ブラインド・テイスティングの一番人気はコノスル・20バレルだった。このブドウはカサブランカのエル・トリアングロ畑の産である。エル・トリアングロはカサブランカ東部に位置する畑で海岸線から40kmほど内陸に入っている。今回紹介するワインはみな沿岸山地の海側か山の中に位置している。しかしこの畑は最も海から離れたコスタ・インテリオルにある。それでも朝の濃い霧はこの畑をすっぽり覆うし、午後になると冷たい海風が吹き込んでくる。それにこの畑の標高は300mでもっとも高地に位置する畑である。

この畑の開拓は1990年代半ばである。もともとチリにはボルドー品種は植えられていたけれど、シャルドネやピノ・ノワールは無かった。1980 年代後半のヴァラエタルワイン・ブームでシャルドネが必要になりカサブランカなどの冷涼地が開拓された。しかし、ピノ・ノワールを植えたのはもっと後になってからだった。

 

コノスルのピノ・ノワール・プロジェクトがスタートしたのは1999 年で、この時、チリのピノ・ノワールの選択肢はそれほど多くなく、アドルフォ・ウルタドとマルタン・プリウールの眼鏡にかなったベストのピノ・ノワールがエル・トリアングロだった。そしてこの畑からピノ・ノワールの名品・オシオが誕生した。

0バレル・ピノ・ノワールは、オシオとまったく同じ造り方。樽育成を終えて試飲し、ベストをオシオに、セカンド・ベストを20 バレルに充てている。いわばオシオのセカンド・ラベルが20バレルというわけだ。

 

「オシオ2012 年」がリリースされたとき、その質的な変化が話題になった。ずいぶんエレガントになったと多くの人が指摘した。じつは2012年からレイダの海の見えるサント・ドミンゴの畑のピノ・ノワールを15%ブレンドし始めたのである。サント・ドミンゴは海辺のリゾートで、マイポ川はここで太平洋に注ぐ。11月に来日したアドルフォに今後の計画を聞いた。すると、「サント・ドミンゴのピノ・ノワールの品質は高い。樹齢を重ねるともっとよくなるだろう。オシオはサント・ドミンゴのブドウをもっと多く使うことになるだろう」と断言した。20 年近い樹齢のエル・トリアングロとフレッシュなサント・ドミンゴの組み合わせ。当然のことながら20バレルのクオリティももっと高くなるだろう。

 

エル・トリアングロの地形は三角形(トライアングル)なのでこの名がついた。土壌は保水力の高い赤色粘土を含む砂質土壌。雨が降るのは冬の間だけで、収穫期に降ることはほとんどない。ブドウはていねいに手摘みされ、収穫後、冷蔵コンテナでワイナリーまで輸送し、速やかに手作業で選別して最良の房だけを仕込む。2015年産の収穫は3月10日から4月4日まで。完全除梗するが破砕はしない。発酵前の醸しは8℃で5日間。アルコール発酵と樽熟成はピノ・ノワール専用のマルタンセラーで行われる。発酵槽はブルゴーニュで伝統的に使われている開放タンク(ステンレス製)を使用。足踏みで破砕して発酵する。アルコール発酵は27℃以下で6日間。樽熟成は小樽とフードルが全体の85%(新しいフレンチオーク小樽とフードルが7:3の割合)、残りの15%をエッグタンクで育成している。どちらも12か月間の育成期間を経てから、オシオと20バレルのセレクションをする。瓶詰したのは2016年6月だった。

輸入元:株式会社スマイル

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