Chilean Coastal Pinot Noirチリ生まれ潮風のピノ・ノワール カサ・マリン・ピノ・ノワール・リトラル・ヴィンヤード2013

マリア・ルス・マリンが2000 年にサン・アントニオ港に近い寒村ロ・アバルカにブドウ畑を拓き、そこにワイナリーを建てカサ・マリンと名付けた。ブドウ畑は海岸からわずか4kmの距離で、冷たい海風が直接吹きこむロケーションだ。年間平均気温は15℃、真夏でも28℃を超えることがない。午前中は濃い霧に覆われ、午後は冷たい海風が吹くからだ。春から初夏にかけて、ひんぱんに遅霜が降り、その被害は大きいが、ブドウの生育期間に雨が降ることはない。

 

カサブランカやサン・アントニオにブドウ畑を所有するワイナリーの多くは、いまでも収穫ブドウを遠くのワイナリーまで運んで醸しているが、カサ・マリンは初めからブドウ畑のそばに小さな醸造設備を構えた。マリア・ルスのカサ・マリンは、チリの女性が興した初めてのワイナリーだ。「冷たい海に面したサン・アントニオにブドウを植えると決めた時、誰もが反対した。気は確かかとも言われた。でもサン・アントニオのブドウは世界的な評価を得て、いまではみんなが競って海の近くにブドウ畑を拓いている」と、マリア・ルスは述懐する。

沿岸山地の西側斜面の土壌は痩せた崩積土で、ロ・アバルカの表土は砂状粘土の割合が多い。北部リマリヴァレーの土壌は石灰質を多く含んでいるが、サン・アントニオの土壌には一般にそれがない。しかし、ロ・アバルカには太古の海底の沈殿物と思われる地層があり、ここには石灰岩が多くみられる。

 

41haの自社畑の約90%は丘陵の傾斜地である。それぞれの区画は傾斜が入り組んでおり、土壌の構成や日の当たり方、気温などが異なっている。そうした違いをブドウ栽培に反映させるため、カサ・マリンは畑を50以上の小さな区画に分割して管理している。寒冷な気候と痩せていてミネラルをたくさん含む土壌なので、ブドウの収穫量は少ない。平均的な生産年でおよそ4トン/ha(28~30hℓ/ha)である。昼夜の寒暖差も大きいので酸味が保持され低いpH 値のブドウになる。

 

ルビーレッドが少し淡くなった色合い。チェリーや熟したプラムの香り。ややスモーキーな印象があり、バラの花びらなどのフローラルな香りも感じる。アタックにやさしい甘さと瑞々しさがあり、滑らかなタンニンがエレガントなストラクチャーをつくりだしている。力のある味わい。フィニッシュには爽やかな酸味があり、熟した果実味や塩味のミネラルなどを伴って余韻がとても長い。アルコール由来のあたたかい感触があって、それが後口にも残っている。しかし強くて大きなワインというわけではない。繊細なワインと比べながら試飲すると、アルコールの要素が目立つという程度。2013 年ヴィンテージは遅めの収穫でアルコール分14.5%だが、その後のヴィンテージもこのスタイルを踏襲しているのか確認する必要がある。(K.Bansho)

つづきはWANDS 2017年12月号をご覧ください。 ウォンズのご購入・ご購読はこちらから デジタル版もできました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る