イタリアワイン 2017年産の大幅減産で9月から輸入量が急増

2017 年1月~10月のイタリアワイン輸入量は328万ケース、前年同期比107.5%である。12月25日時点ではこれが財務省関税局発表の最新データで、これと関係者への取材を併せて2017 年の販売動向をまとめることにする。輸入量がこの勢いを保ったまま進行すると、通年では過去10 年間で輸入量の最も多かった2012 年(402 万ケース)を超えるかもしれない。

 

ところが、インポーターや流通関係者に実際のワインの売行きを聞くと、「イタリアワインはあまり売れていない」「雨の多い夏で盛り上がりを欠いた」「10%減に近い一桁台の前年割れ」など、商況の厳しさを窺わせるものばかりである。11 月以降、在庫を売り捌くための安売りが目立ち始めており、これで幾らか売上げが伸びても、「2017年の販売量は、うまくいって前年並み」(大手インポーター)にとどまりそうだ。

 

「輸入に勢いがあること」と「苦戦する販売最前線」。このギャップは何だろう。思い当たるのは、値上げ前の駆け込み輸入(仮需)である。2017年のイタリアワイン生産量は3,890hl、前年比17.7%減を見込んでいる。全20 州を襲った春の遅霜と夏の猛暑による旱魃で、2017年は過去70年来、最も生産量の少ない年になった。この生産減少を受けてブドウ取引価格もバルクワイン価格もすでに急騰しており、インポーターのもとに「2018年1月1日以降のFOB 価格を平均5~8%引き上げる」という通知が来ているという。

 

「ピエモンテワインは10%増でさらに深刻だ。プーリア、シチリアのワインはもっと高くなる」らしい。値上げ通知を受けたインポーターが値上げ前にがっちり買いこんだから輸入量が急増したのだろう。それが証拠に1月~8月の輸入量はほぼ前年並(99.9%)だった。ところが、9月40.9%増、10月42.9%増と急激に増え、10月までの累計が7.5%増になった。このままだとたぶん11月、12月も増えるだろう(ところが予想に反して12月27日に発表された11月分輸入量は13.3%減だった)。

 

つまり、多くの輸入元が2018 年上半期販売分をFOB 価格の上がる前に(2017年のうちに)手当てしたようだ。そして、これを売り切ってから価格改定に踏み切るのだろう。だからイタリアワインはおそらく2018年4月もしくは6月に値上げされることになる。

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