ヴェネツィアングラスに詰めたグラッパ 広島と平和のためのボッテガのメッセージ

サンドロ・ボッテガは、北イタリア・トレヴイーゾ県ビバーノで蒸留酒グラッパとスパークリングワイン・プロセッコを造るボッテガ社のオーナーである。被爆70 年目の2015 年に初めて広島平和記念資料館を訪ねたサンドロは、当時の惨状を目の当たりにし、平和こそが人類のかけがえのない財産であると確信した。それで、その日から「スピリット・オブ・ピース」を形にして人々に知らせることに専心した。

 

サンドロは自前のヴェネツィアングラス工房を持っている。この工房で吹いたボトルに自家蒸留したグラッパを詰めて売る文字通りクラフト・グラッパの造り手である。このヴェネツィア伝統の吹きガラスでスピリット・オブ・ピースを表現しよう、サンドロはそう決めた。

平和の象徴は鳩である。ヴェネツィアングラスで大きな鳩を吹いた。グラッパのボトルの中に小さなガラスの鳩を設えた。プロセッコのラベルにも鳩をあしらった。グラッパのボトルは「Peace for Hiroshima」。平和のシンボルの白い鳩をボトルの中に設えて、プロセッコで造ったグラッパのアレクサンダーで満たしたもの。容量は350ml。

 

スパークリングワインのボトルは「Peace for the World」。こちらは世界平和をうたったもので、白い鳩がラベルにプリントされている。グレラ、シャルドネ、ピノで造ったDOC ヴェネツィアのスパークリングワイン。容量は750ml。

さらにこのグラッパとスパークリングワインをセットにしてギフトボックスに詰めたのが「Hiroshima for World Peace」。

 

サンドロはこのグラッパとスパークリングワインのセットに「スピリット・オブ・ピース」と名付け、これを広く世界に向けて売ることにした。そして、その収益の全額を広島市に寄付し、平和推進活動に役立ててもらうよう申し出た。

 

広島市の松井一實市長はサンドロの意を汲み、平和のためのヴェネツィア工芸ガラス作品展「HIROSHIMA for World Peace」を広島市内の三つの美術館(広島市現代美術館、広島県立美術館、ひろしま美術館)で11月25日~ 12月10日まで開催することを決めた。

期間中の展示品には、ボッテガのガラス職人の吹いたグラッパとプロセッコのボトルの他に、二つの特別なヴェネツィアングラスの作品が加わった。一つはサンドロがデザインを担当しヴェネツィア・ムラノ島のガラス職人ピノ・シニョレットの吹いた「平和の鳩」。もう一つはボッテガのグラッパ・アレクサンダーを詰めるための芸術的なボトル群。こちらはボッテガのガラス工房で働く職人が作り続けてきたもの。

美術展のオープニングセレモニーに出席するために広島を訪れたサンドロ・ボッテガは、「このヒロシマの地において、われわれヴェネツィア人の歴史そのものであるガラスで、平和の尊さを表現できたことはとても意味のあることです。美しくもはかないガラスの表現は、ヒロシマが時を越えて伝え続けるメッセージとともに世界に広がることを願います」と語った。

ボッテガのグラッパとスパークリングワインは日本酒類販売が輸入販している。

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