ベルターニ兄弟のセッコ・ベルターニ 1958年から続く伝統のアマローネ

ベルターニの醸造責任者ジョルダーノ・フォルメンティが来日し、輸入元のモンテ物産が「ベルターニ伝統的アマローネの魅力」と題した試飲セミナーを開催した。

 

創業者のベルターニ兄弟は、ヴェローナがオーストリアに占領されていた1850年から1857年の間、フランスに亡命していた。当時のフランスではルイ・パストゥールが低温殺菌(パストゥリゼーション)の研究をしていた。ベルターニ兄弟は、グイヨー仕立てを考案したグイヨー農学博士に師事し、ブドウ畑の管理方法を学んだという。

 

そして1857年に帰国しベルターニ社を設立した。当時は甘口ワインが主流だったが、1870年に画期的な辛口ワイン「セッコ・ベルターニ」をリリースした。ワイン観を根本から変える試みだったが、すぐには受け入れられなかった。それでベルターニは25万本ものストックを抱えることになる。しかしこれが時代の変化とともに少しずつ受け入れられるようになり、ボトルの中で熟成したワインが評判を呼んだ。1923年にはサヴォイア王家からボトルに王家の紋章を記すことが許され、これが世界市場で品質保証の役割を果たした。

 

セッコ・ベルターニで世界に知られたベルターニがアマローネ・クラッシコを造ったのは1958年のことである。ジョルダーノがベルターニのワイン造りの原則を次のように言った。「私がエノロゴとしてベルターニに呼ばれたのは、何か特別のものを造ることを期待されたからではありません。いつでも創業者ベルターニ兄弟を灯台にして、そこに向かっていくことが求められていると思っています」。

 

セッコ・ベルターニ・ヴェローナ2014は、ヴァルポリチェッラ・ヴァルパンテーナ産のコルヴィーナ・ヴェロネーゼ80%とメルロ20%のブレンド。コルヴィーナは10月第1 週に収穫した。メルロは完熟させ樹に残したままアパッシメント(自然乾燥)。これで水分が蒸発して糖濃度が高まる。除梗・破砕してステンレスタンクで約15 日間、22~26℃でゆっくり発酵を続ける。マロラクティック発酵の後、アサンブラージュしてスラヴォニアンオーク槽(2,500 ℓ)とフレンチオーク樽(750 ℓ)で12か月の熟成。

熟したフレッシュなチェリーやブルーベリーのジャムのような香り、その後、アロマティックなハーブやナッツの香りがやってくる。口当たりは滑らか、柔らかいタンニンと酸味のバランスがすばらしい。フィニッシュに爽やかな酸味とほんのり苦みが感じられる。

 

ベルターニのアマローネの醸造法の特徴は次の通り。

ブドウはコルヴィーナ・ヴェロネーゼとロンディネッラだけ。点在する小さな区画のブドウを集める。樹の仕立て方は創業者の師事したグイヨー式。収穫は手摘みで、収穫量の30%以下の健全果だけを乾燥室に運んで陰干しにする。房を竹のラックに並べて120 日間乾燥させる。竹は湿気を吸収する性質がある。初めの15日間は果実の湿気が多く、竹はこれをすばやく吸収する。陰干しには除湿機を使わず窓の開閉だけで湿度をコントロールする。ボトル1本のアマローネを造るために3kgのブドウが必要だ。ブドウは凝縮度が増し、香りと味わいの成分が豊かになる。発酵はグラスライニングのセメントタンクで40日以上かけておこなう。その後、オークの大樽(6,000 ℓ~8,000 ℓ)で6年間熟成させる。熟成期間中にはほぼ毎年澱引きをする。この澱引きを繰り返すことのメリットは、最終製品に大きな澱が残らないことである。1年の瓶内熟成を経てリリースされる。

 

ベルターニのアマローネ3ヴィンテージを比較試飲した。もっとも古いものは50年前の1967 年産だった。

2008アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ アルコール分15.3%。赤い新鮮な果実、ドライハーブ、スパイスの香り。丸みがありやさしいタンニン、甘苦い後口。

2007アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ アルコール15.4%。ドライハーブ、甘苦いハーブ、スパイス、カカオ、黒糖などの複雑な香り。丸みと強さのある味わい。アルコールで口中が暖かくなる。

1967アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ アルコール分15.2%。リコリスのような甘いスパイス、チョコレート、カカオ、ドライフルーツとドライハーブの香り。香りのヴォリュームが多く香りに強さがある。味わいにも力があり、きれいな酸味と甘苦さが口中に広がる。ボトリングは1985年10月。半世紀前に造られたワインとは思えない新鮮さがある。 (K.Bansho)

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