開園から15年来年秋の新ワイナリー開設を控えるメルシャン 椀子ヴィンヤード

シャトー・メルシャンの椀子ヴィンヤードが2003年の第一期植樹開始からちょうど15 年が経過した。見事に成園化した畑は総敷地面積20haのうち、16haに欧州系醸造用品種が植樹されている。この畑から収穫されたぶどうは、フラッグシップワインの「オムニス」をはじめ、ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、メルローなどがすでに日本ワインコンクールで高い評価を受けており、スパイシーで香り豊かな高品質シラーの産地としても注目を集めている。

最新式の電動ハサミを使っての剪定。太い梢でも力を入れずに作業ができる。

椀子ヴィンヤードは千曲川左岸、上田市丸子地区に近い陣馬台地にある。標高は650m前後。東は雪を頂いた浅間山や烏帽子岳などの山々、西には北アルプス連峰を望む360度のパノラマが広がる絶景地だ。椀子(マリコ)の名前の由来は、6世紀後半、欽明天皇の皇子「椀子(まりこ)皇子」の領地であった丸子地域の歴史に基づいて命名された。椀子が転じて、丸子(まるこ)になったと言われている。

陣馬台地はかつて養蚕のための桑畑が広がっていたところ。昭和40年以降は薬用人参が栽培されるようになったが、連作障害や価格低迷、さらには農家の高齢化も加わり、農地25haのほとんどが遊休荒廃化していた。そうしたなか、世界水準の高品質ワインづくりをめざし、長野県内にワイン用ブドウの栽培地を探していたメルシャンが、緩傾斜で風通しがよく、年間降水量も900mm以下と少ないこの地に注目。2003年2月に農業生産法人「有限会社ラ・ヴィーニュ」を設立し、農家から農地を借り受けて事業を開始した。

基本的に南東向きの緩斜面に拓かれた16haの畑は13区画に分かれ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、シラー、メルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、それからピノ・ノワールと幾つかの試験品種が垣根式グィヨ仕立てで栽培されている。畝間2.5m、樹間1mでha当たりの植樹本数は4000本。1本の葡萄樹に対して6~8芽が基本。現在は栽培スタッフ総勢7名で畑を管理しているが、この広い畑では剪定作業だけでも全てを終えるのに3か月かかる。さらに来年には南側斜面に2.5ha 拡張する予定があるという。

「対岸の千曲川右岸は山から一方通行の風を受けやすく、雹も年10回ほどと多い。これに対して、左岸のここは雹が少なく霜害も無い。しかし、土壌は重粘土質で、表土が浅く雨が降っても乾くのが早い。ぶどうにとっては過酷であり、ぶどう樹はあまり大きくならない傾向がある」と、ヴィンヤード・マネージャーの吉田弥三郎氏。鹿やウサギの害もあり、畑の周囲は破られやすいネットに代えて柵で囲うようにしてから被害はかなり減った。

これまでの実績では、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランが良好。

(中略)

ラ・ヴィーニュの加賀山茂社長(左)おヴィンヤードマネージャーの吉田弥三郎氏

さて、開園以来の念願だったこの地にワイナリーを建設する計画がいよいよ実現に向けて動き出した。ワイナリー用地は畑の上部、もっとも見晴らしの良いところに予め確保されている。この場所の地権者との折衝も終え、農地を宅地に変えるべくメルシャンが用地買収を行って、年内遅くない時期に建設工事に着工。

2019 年秋には、椀子ヴィンヤードと北信エリアの葡萄を醸造するブティックワイナリーとしてオープンする予定だ。生産予定量は初年度5000ケース。見晴らしの良いテイスティングルーム、ワイナリー限定ワインの直販、遊歩道に導かれて背後に控える一本木公園の桜を眺めながらの休息など、魅力満載の新ワイナリー建設によって、銘醸地としての椀子がさらに脚光を浴びる日が近づいている。

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トップ画像:椀子ヴィンヤードからは雪を頂いた浅間山が遠望できる

 

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