原料選別と蒸留時のアルコール度数、長期熟成にこだわり続けるワイルドターキー

明治屋は今年1月1 日からバーボンウイスキー『ワイルドターキー』の総代理店として輸入販売を開始しているが、このほど、同蒸留所のマスターディスティラー、エディー・ラッセル氏を招聘しプレス向けのセミナーを開催した。

エディー・ラッセル氏はワイルドターキーに36年間在職し、2015年から4代目のマスターディスティラーの称号を与えられている。3代目のマスターディスティラーでバーボンづくり63年のキャリアを誇る父ジミーとともに、父子が同時にマスターディスティラーになり、ともにケンタッキー・バーボンの殿堂入りを果たしているのは初めてのことだという。

バーボンウイスキーの規定は、①原材料としてのコーンの比率が51%以上であること、②熟成樽はオークの新樽で内側を焦がしていること、③アルコール度数80%以下で蒸留されること、④樽に入れる前のアルコール度数は62.5%以下であること、とされている。しかし、「数多いケンタッキー・バーボンの中で、ワイルドターキーをワイルドターキーならしめている特徴は原材料や樽、水の選別を厳しく行っているほか、その独特の製造工程にある」と、エディーは語る。

その特徴の第一は使用原料の厳しい選別。 コーンは(他のバーボン蒸留所と異なり)遺伝子組み換え作物(GMO)は一切使っていない。これは父ジミーが、昔から使われてきた特定の種のコーンを使うことにこだわってきたためだが、(GMOの安全性に様々な論議がある中で)オリジナルのコーンが最良のものだという判断は結果として正しかったと思う。また、ライ麦はドイツ産、大麦は米国産の最高品質のものをセレクト。ライ麦はスパイシーや骨格を、大麦麦芽は酵素によりデンプンを糖分に変える上で重要な役割を果たしている。

特徴の第2は熟成に使われる樽にあり、米国産ホワイトオークで容量は53ガロン(200ℓ)もの。樽の内側を焦がす度合いは最も強い“ナンバー4 アリゲーター・チャー”。ワニの背中の革のように黒く深い溝ができることからそのように呼ばれている。これにより、樽中の繊維質が化学反応を起こし、カラメル様の樽成分が原酒にしみこみ、深い琥珀色とコクのある味わいがもたらされる。

特徴の第3は水。ケンタッキー川の水は石灰岩層を通過することで、金属性のミネラルが取り除かれ柔らかい風味をもたらしている。ワイルドターキーでは、この水を地下85mの泉からくみ上げて使っている。

特長の第4は蒸留時のアルコール度数。糖化されたマッシュは、禁酒法以前から自家培養されてきた酵母を使い、3万ガロンのタンクで72時間(3日間)かけて完全発酵。アルコール分10~12%となったbeer(ビアー)は、コラムスティルによって1回目の蒸留、さらにタブラー(仕上げ用の蒸留器)で最終的に120~130プルーフ(60~65%)のニュー・ウイスキーを造り出す。バーボンの規定と比べて、ワイルドターキーの原酒のアルコール度数はかなり低い。これにより特有のスムーズな味わいと豊かなフレーヴァーを保つことができる。

第5の特徴は……。(M. Yoshino)

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トップ画像:エディー・ラッセル氏と松沢幸一明治屋社長

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