Alsace Wine 3つのアルザス・グランクリュ「ツィンコフレ アイシュベルグ ツォツェンベルグ」

アルザスワインは品種の個性を前面に出し、地域名称に依拠したフランスのワイン呼称制度の中で特異な地位を築いてきた。しかし、品種名をキーワードにマーケティング戦略を進めた新世界のワインに席巻されこれまでの独自の存在価値が揺らぎ始めた。これに対抗してブルゴーニュのアペラシオン制度を参考に葡萄畑単位の個性を確立しようという動きがアルザスで強まっている。

 

とりわけ、1975年以降2度に亘る作業を経て創設された51のグランクリュを価値づける取り組みが進んでいる。前号で紹介したヴェスタルテン村のグランクリュ・ツィンコフレに続き、今号ではエギスハイム村のグランクリュ・アイシュベルグとミッテルベルグハイム村のグランクリュ・ツォツェンベルグを紹介する。

 

グランクリュ・アイシュベルグ Grand Cru Eichberg

アイシュベルグの葡萄畑はコルマールの南、6km にあるエギスハイム村の南西の斜面に広がっている。畑に立つとウスレン・レ・シャトー村の小高い山の頂に中世に作られ、今は外壁だけが残る3 シャトーが見える。南側に同じエギスハイム村のグランクリュ、フェルシベルグが続いている。畑の標高は220m ~350mと他のグランクリュに比べなだらかだ。

 

北の部分は主として泥灰石灰質、南部は泥灰砂岩質。粘土、砂混じりの土壌には多量の小石が混じっていて水はけはよい。心土は石灰岩で出来ている。ドイツ語で “ アイシュ” は オークの木、“ ベルグ” は丘でアイシュベルグは“ オークの木の丘” を表している。作付け品種はゲヴュルツトラミネールが主体で、次いでリースリング、ピノ・グリ。

(T. Matsuura)

つづく/これ以降の内容につきましては、「ウォンズ」本誌「9月号」P.19〜28をご覧下さい。WANDS本誌の購読はこちらから

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