パリのブランデー事情 カーヴィストとカクテルバー

蒸留酒の王様として君臨するコニャックを筆頭に、アルマニャックやカルヴァドスなど、フランスには長い歴史を誇るブランデーが存在する。特にコニャックの世界市場における2017年度の販売は、量ベースで10%増、価格ベースで14%増と、3年連続で上昇傾向にあり、その勢いは増す一方だ。主な輸出先はアメリカや中国、ロシアなどが挙げられている。一方フランスは生産大国でありながら、そのほとんどが輸出されてしまうため、意外にも国内での消費は限られている。この状況を残念だと捉えるパリの新たな世代が、「フランス人も自国の伝統的蒸留酒を楽しもう!」と奮起。近年のカクテルバー・ブームにも乗って熱くなる兆しが出てきた。パリのカーヴィストとカクテルバーに伺った最近のブランデーの動向や手応えと、パリで生まれたブランデーをご紹介する。

 

特別なディナーの後、我が家の秘蔵として登場  カーヴ・アンぺロス

コニャックやアルマニャック、カルヴァドスのイメージをフランス人に尋ねると、示し合わせたかのように同じ答えがかえってくる。「食後におじいちゃんが飲むイメージ」と。確かにフランスでは大切な人を家に招いてディナーをする時、必ずと言っていいほど、最後に秘蔵のコニャックやアルマニャックが登場する。宝箱から取り出した秘宝のように大切に抱えられてお目見えし、家主の年長者が招待客にサーブする。至福のひと時を共にする特別な位置づけなのだ。

パリ7区の官庁街にあるカーヴ・アンぺロスのオーナーソムリエ、エルヴェ・ボードロンも、「コニャックやアルマニャックは、ご年配が希少品や高級品を探しにやってくる。」といい、「若者は旅行もするし、情報も入りやすくなったせいか、どちらかというと外国のエキゾチックな蒸留酒に関心が向いている。」と話す。特にウィスキー、ジン、ラムなどはより求めやすい価格帯からあり、食前酒としても食後酒としても幅広く楽しめることがその要因だと分析する。このお店の顧客はフランス人を中心に、ロシア、アメリカ、ブラジルからの観光客も多い。「ロシアではコニャックにトニックを混ぜるアペリティフがバーやクラブで流行しているそうだ。でもうちにはジュースに混ぜるタイプのコニャックは揃えていないから困ったよ。」と苦笑いする。

ワインの品揃えを見てもブルゴーニュを中心に愛好家垂涎のボトルが並んでおり、コニャック、アルマニャックに関しても同様で、個性的な希少価値のあるボトルの選りすぐりだ。特にお薦めのコニャックのメゾンは、小規模ながら品質の安定したオードリー、コニャックを語る上では必ず通るべき道であるというドラマン、高級かつ希少価値のあるテスロンを挙げてくれた。またアルマニャックは、価格と品質の兼ね合いのよいドメーヌ・ド・ジュアンダ、様々なヴィンテージが揃うラベルドリーヴの名が挙がった。(Tomoko Inoue)

つづき(ギャラリー・ラファイエット/パリ蒸留所/シェル バー・オテル・デ・グラン・ブルバール/リトル・レッド・ドア/ル・サンディカ/ラ・コミュヌ)は WANDS 2018年3月号のブランデー特集をご覧ください。 ウォンズのご購入・ご購読はこちらから デジタル版も併せてご活用ください!

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