100点満点を獲得したセーニャ 東京でマスタークラスを開催

チリのウルトラプレミアムワイン「セーニャ」の2015年ヴィンテージが、ワイン評論家のジェームズ・サックリングから100点満点を与えられた。これを祝し、チリからエデュアルド・チャドウィックが来日。昨年の全日本最優秀ソムリエコンクールで優勝した岩田渉をコメンテーターに、マスタークラスとガラディナーを開催した。
まずセーニャというワインの成り立ちから振り返ろう。プロジェクトのきっかけは1991年、カリフォルニアのロバート・モンダヴィがチリを訪れ、その案内役をビーニャ・エラスリスの当主、エデュアルド・チャドウィックが務めたことに始まる。チリのポテンシャルに着目したモンダヴィは、シャトー・ムートン・ロッチルドとコラボレーションした「オーパス・ワン」と同様の試みを、共同でできないかと提案したという。
両者は、チリが偉大なワイン産地であることを世界に知らしめんがため、95年にジョイントベンチャーに合意。ロバート・モンダヴィの息子で醸造家のティム・モンダヴィと、当時、エラスリスのチーフワインメーカーだったエド・フラハーティによって最初の95年ヴィンテージが仕込まれ、これを98年にローンチ。ワイン名は英語で「サイン」を意味する「セーニャ」に決まった。

(中略)

 そして今回、東京のマスタークラスに持ち込まれたセーニャは、1996年、2000年、2003年、2009年、2013年、2015年の6ヴィンテージ。それぞれの主要なデータは下記のとおりである。

1996年
カベルネ・ソーヴィニヨン(CS)91%、カルメネール(Cn)9%/Alc12.7%/pH3.8/総酸度5.6g/l

2000年
CS77%、メルロー(M)17%、Cn6%/Alc14.0%/pH3.7/総酸度5.08g/l

2003年
CS52%、M40%、Cn6%、カベルネ・フラン(CF)2%/Alc14.0%/pH3.8/総酸度4.77g/l

2009年
CS54%、Cn21%、M16%、プティ・ヴェルド(PV)6%、CF3%/Alc14.5%/pH3.36/総酸度5.94g/l

2013年
CS58%、Cn15%、マルベック(Mc)12%、M10%、PV5%/Alc14.0%/pH3.43/総酸度6.13g/l

2015年
CS57%、Cn21%、Mc12%、PV7%、CF3%/Alc13.5%/pH3.55/総酸度6g/l

このデータから見えてくるのは、メルローの比率が減り(2015年ではついにゼロ)、カルメネールとマルベックが増えていること。「カルメネールとマルベックはアンデスの個性。ボルドーやナパの模倣ではない、唯一無二のワインが造られる」と、チャドウィック。
また2009年をピークにアルコール度数を抑える方向に転じ、酸味を重視し、低pHの調和のとれたワインを目指していることがわかる。さらにデータにはないが、過去は100パーセントだった新樽率も、2013年は75パーセントに抑え、2015年では65パーセントまで減らしたうえ、一部をストッキンガー製の大樽で熟成するようにした。「過剰なアルコールやオークの風味は、セーニャの真の姿を覆い隠してしまう。果実のピュアさこそ、我々が追求すべきポイント」。
テイスティングの結果、20年以上の熟成に耐え得ることは十分証明された一方、ワインの完成度はヴィンテージが若くなるにつれ高まっている。そこにはバイオダイナミック農法の推進、よりバランスのとれたブドウの選択、2010年に完成したアイコンワイン専用醸造施設での、微に入り細を穿つ醸造法など、20年分の進化がある。
「2013年や2015年ヴィンテージはセーニャの将来像を象徴している。ひとつのサイクルが完了したと考えていい」と明言するチャドウィック。コメンテーターを務めた岩田ソムリエも、「2015年は熟成ポテンシャルが高く、これから10年後、20年後が楽しみ」と語る。
このイベントが行われた3月7日、英国のワイン誌「デカンター」が、チャドゥイックを2018年のマン・オヴ・ザ・イヤーに選んだとの知らせが飛び込んできた。(Tadayuki Yanagi)

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